「何という病気なんだ?」

「教えてもらえなかった。でも言っていた。余命が一年あるかどうか、って……」


 彼女の言葉に僕は、驚くほど驚きはなかった。

 人生は、ある日突然あっけなく終わるものだと僕はこの歳になって、ようやく分かってきた。

 僕らの大半は、昨日や今日と同じような明日が来ると無意識に信じているけど、それぞれが全て別々の新しい日なのだ。


「それはいつの話?」

「三ヶ月くらい前」

 あと、ざっと見積もって九ヶ月の命である。

「それなら、なおさら会わせてくれないか、彼女に」

 僕は迷いなくそう言った。

 波奈の孤独の痛みが、自分の痛みとして身体を突き抜けたからだろう。


 猫は、びっくりしたように目を大きく丸く見開いていた。

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