しばらく黙っていた彼は、梁の上で寝そべったまま、グラスを磨く僕に話し掛けてきた。


「ねえ」

「何だい?」

「マスターは、本当にボクがレーサーになれると思う?」

 とても難しい問題だ。

 でも、ここで「無理」と言い切って諭す簡単な選択はしたくない。


 なぜって、それは分からないけど、僕が少年のままの部分を捨て切れていないからなんだと思う。

 否定は、繊細な心には絶望と隣り合わせにあることを僕自身が感じているからこそ、無理とか駄目とかを言葉にはしたくない。

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