それが薄っぺらい喜びであることに彼はいつ気づくだろう。

 僕はそれなりに生きてきて、そのあいだに何人もの人たちに、何度も手のひらを返されてきた。

 友だちでも何でもない他人の称賛なんて所詮相手にとって都合が良いときだけ与えられるもの。それで、まるであてにならないことを僕は思い知った。


 遠くで「パオーン」という陽気な鳴き声が聞こえる。

 それでも酔いが覚めるころにはいつも、彼は自分の有り様に寂しくなってしまうかもしれないな。

 そう思うと、少し気の毒になる。


 それまでのあいだだけでも、楽しそうに振る舞いたいのだろうか。

 彼の芝居じみた笑い声が、地鳴りのように響いてくる。

「わーはっはっはー! ぃやっほーい!」


(やっぱり、変なの)


 僕は、思わず肩をすくめた。

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