「美味しかったわ。ありがとう」

 彼女はそう言って支払いを済ませると、扉を開けて外に出た。

 僕もついて出る。


 風が顔に吹きつけてきた。

 彼女の羽根が揺れる。

「良い風だわ」

「そうだね」

「正直、もうお店には来られないかもしれないけど?」

「かまわないよ。せっかくの春を楽しんで」

「ありがとう」


 次の風が吹いて、彼女はそれに乗ると空高く舞い上がった。


 彼女はそこで一旦止まると、こちらを向いてもう一度言った。

「ありがとう!」


 返事の代わりに、僕は大きく大きく手を振った。

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