第4話

ナマステ!みんな元気?カメレルネフチのお父様も国王なんだね。僕と同じだ!って嬉しかった。

ケンは「ピカチュウ」が好きなんだね。それはお菓子の名前?わたしは「ラパトゥー」が好き。お米とココナッツが入っていて、とても甘くて、うっとりする香りがする。だから春の宮殿にも、夏の宮殿にも、秋の宮殿にも、冬の宮殿にも、黄金の皿に天井まで積み上げている。

ベンジャミンは新聞配達のお仕事をしていると手紙に書いてあったけれど、カーストは奴隷なの?だったらお父様に、ベンジャミンをわたしの従者にしても良いか聞いてみても良いかな?わたしの国にはダイアナ妃はいないけれど、マーヤー妃の妹でも良かったら…。

ところで、明日はわたしの誕生日です。生まれて初めて宮殿の外に出るのです。外はどんな世界なのだろう。わくわくして近ごろは毎日眠れません。

町の様子を見た感想を手紙に書きますね。ではまたね。わたしのパスワードは「地を」です。

四月七日 ゴータマ・シッタールタ

春の宮殿の紺碧と紅の細かい刺繍に彩られた絨毯なの上で羽を休める禿鷲の足に、手紙の入った硝子の瓶を括り付ける。

「よろしくたのむよ。サータータ。このテがを拾ったところへまた運んでおくれ」

禿鷲は石柱の外へふわりと大きく、青空を背にゆっくりと弧を描く。そしてまたひとつ弧を描いてから、熱風の中をガンジス川へと向かい、やがてみえなくなった。


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