終わらない闘いに、一筋の光を。

こよい はるか

グサッ グサッ

シャキッ


聞き慣れてしまった刀の音が聞こえる。


いつからだろう。

こんな風に、無心で人を斬るようになったのは。


「おい、次いくぞ」

「はい」


いつからだろう。

こんな風に人に従う人生は。


空が青い。

地面が赤い。


もう動かなくなった身体が数えきれないほど転がっている。


なんのためだろう。

俺がここにいるのは。


何がしたいのか、誰と会いたいのか、いつの間にか分からなくなって毎日を生きている。

人間の存在意義なんて集まったからこそ生まれるもので、たった一人じゃ何もできっこない。


と、思っていた。




衝動に駆られるように、当たり前のように、人を、人の全てを、斬って、切っていく。


こんなこと間違ってるだろ、と内心思いながらも、逆らうことができない自分を恨み、また日常に戻っていく。


まだいける。


まだ。


まだ。


それだけで生きていた俺の人生にだって、終わりが来る。


背後から斬られた首からの生温かい感覚が、俺を包み込む。


あぁ、終わるんだ。


何もかもがどうでも良かったこの世界に、終止符が打たれるんだ。

感情のない心で、客観的に、冷静に、そう思った。





———はずだった。





「大丈夫⁉︎」


君は僕に手を差し伸べ、真っ黒い世界から引っ張り出した。


世界が、色づいていく。


そうだ。


俺は、間違っていた。


己の正義を貫け。


自分の思ったように生きろ。


見失うな。


君はそう俺に言葉をかけて、


「逃げよう?」


そう言った。


今までの自分に、ありがとう。


俺を支えてきてくれたみんなに、ありがとう。


絶対に忘れないから。

忘れないで。

頑張って。




君たちの正義は、きっと戦うことだ。


君らの正義を貫けば、それが世界の正義だ。


考えろ。


信じろ。


自分を。




負けるな。


追いかけろ。


自分を。


綺麗事だと思っても、諦めるな。





「さようなら」


きっぱりとそう言って、世話になった土地をあとにする。


俺は頑張っただろ。ここまでやってきたことも、きっと俺の生き方の正解なんだ。きっと。


合っていても違っていたとしても、今の自分を追いかけ続けろ。


走れ。


頑張れ。




負けられない戦いだって、負けてしまう戦いだってことは、十分わかっている。


これでいいんだ。どんな方法だって、世界に平和が訪れるのならば。


望むは、正義だ。







光に向かって、突き進め。

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終わらない闘いに、一筋の光を。 こよい はるか @attihotti

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