第8話 自信喪失、選ばれた道、そして王の決断
アストリア王国の王座の間。荘厳な柱と絢爛な装飾が並ぶ広間には、王が玉座に鎮座し、その左右にはバルドウィン将軍、宰相アルフレッド、神官長セラフィムが立っていた。
そして、その場には凛と海の姿もあった。
王は深く腰掛けながらも、優しいまなざしを海に向け、ゆっくりと問いかける。
「ところで、海よ。お主はどうするつもりじゃ?」
その言葉に海は肩を小さく震わせ、唇を噛む。まるで喉の奥に引っかかった言葉を吐き出そうとしているかのように。
「あの……僕、戦うことには向いていないと思うんです。」
その声は震え、今にも消え入りそうだった。しかし、海は勇気を振り絞り、続ける。
「でも、僕にもきっと何かできることがあると思うんです。せめてそれを……探したいんです……。」
その言葉には、彼の弱さだけではなく、自分にできることを見つけたいという小さな決意が込められていた。
広間に一瞬の静寂が訪れ、バルドウィン将軍が眉間に深い皺を刻み、鋭い眼差しで海を見つめる。
「……つまり、お主は後方支援に徹したい、ということか?」
海は小さく頷き、拳を強く握りしめた。
「はい。戦場で足手纏いになるくらいなら、せめて他の何かで役に立つことを見つけたいです。」
バルドウィンは腕を組み、深く思考に沈む。しばらくの沈黙の後、彼は静かに口を開いた。
「ならば、魔導騎士団はどうであろうか?」
その言葉に海は目を丸くし、驚きの声を漏らす。
「魔導騎士団……ですか?」
「あそこは我が国唯一の魔法研究の最前線にして、叡智の集結する場だ。異世界から来たお主の知識や技術が、意外な成果を生むかもしれん。」
バルドウィンは海の肩に重々しく手を置き、その瞳に真摯な光を宿す。
「道を選ぶのはお主自身だ。覚悟があるなら、団長のシャルロットに会え。」
しかし、その言葉を遮るように、宰相アルフレッドが声を荒げた。
「な、何ッ! 魔導騎士団だと!? 気でも狂ったか、バルドウィン!」
アルフレッドは広間を一歩踏み出し、憤怒に満ちた表情でバルドウィンを睨みつける。
「得体の知れぬ異世界人に、我が国の国家機密の中枢を担う魔導士団へ入団を許すなど、正気の沙汰とは思えん!
その言葉には緊張と不信感が滲み出ていた。
「王よ、恐れながら申し上げます。いくら何でもこの提案は無謀でございます。どうか、懸命なご判断を──!」
アルフレッドは王へと鋭い視線を向け、興奮を抑えきれない様子で訴える。
王は静かに目を閉じ、数秒の沈黙の後に口を開いた。
「そうじゃな……。我が国は魔族の襲来に備え、異国の地より勇者を召喚した。それは、我らの都合である。」
王の言葉には深い悲哀と、責任が込められていた。
「凛どのの力は既に証明され、我が国の力となるであろう。そして、凛どのと共に召喚された海殿にも──わしはこの国の明暗が託されていると感じておる。」
その言葉に広間は静まり返る。
「国家が魔族の手に落ちれば、国家機密などどうでも良い話じゃ。そうは思わぬか、アルフレッドよ。」
アルフレッドは歯を食いしばり、口を噤む。王の言葉には反論の余地がなかった。
「ところで、アルフレッドよ。確か魔導士団には主の息子がおったであろう? 名はエドガーと申したか?」
その言葉に、アルフレッドは誇らしげに胸を張る。
「ははあ! 我が息子エドガーにございます。お見知りいただき光栄にございます。」
王は目を細め、わずかに口角を上げる。
「お主の有能な息子が、海殿の指南役として不足と申すか?」
アルフレッドは一瞬で顔をこわばらせ、首を横に振った。
「滅相もございません。」
「ならば決まりじゃな。」
バルドウィンは深く息をつき、安堵の表情を浮かべた。
「海殿よ。魔導騎士団でお主の力を存分に発揮できることを期待しておる。」
海は一瞬目を伏せた後、小さく頷いた。
「ありがとうございます……。僕、行きます。」
その声には、先ほどよりも少しだけ確かな決意が込められていた。
王からの告知 – 女神からの「ギフト」
広々とした謁見の間。天井に掲げられた豪奢なシャンデリアが揺らめき、柔らかな光が場を包んでいた。王は重厚な玉座に腰掛け、威厳に満ちた眼差しで凛と海を見つめる。
「凛、そして海よ。汝らは異世界より召喚されし勇者。だが、その力は未だ完全ではない。」
王の言葉に、二人は息を呑む。
「魔族の脅威が日に日に増す今、お主たちにとって確かな力の象徴が必要じゃ。そこで、女神アルフィーネより『ギフト』を授ける儀式を執り行うことに決めた。」
謁見の間に微かなどよめきが広がる。バルドウィンは頷き、アルフレッドは不服そうに唇を噛む。
「創造の
凛は静かに拳を握りしめ、海は緊張からか小さく唾を飲み込む。
「女神から授けられた
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