第19話 橘貿易の影

翌日、香織たちは橘貿易が運営する港湾倉庫の一つに向かっていた。そこは高いフェンスに囲まれ、監視カメラが至る所に設置された施設で、密輸を隠すには格好の場所だった。曇天の空の下、冷たい風が吹き抜け、三人の緊張感をさらに高める。


「ここが橘貿易の倉庫か……なんか見るからに怪しいな。」

涼介がフェンス越しに広大な敷地を見ながらつぶやいた。


「見た目は普通の倉庫だけど、こんなところで大規模な密輸が行われている可能性が高いわ。」

香織が双眼鏡を覗き込みながら答える。


芹沢は冷静に周囲を観察していた。

「入口には警備員が常駐しているようですね。正面から入るのは難しいでしょう。監視カメラの配置も慎重に計算されています。」


「正面からなんて入れるわけないだろ。で、どうやって中に入るんだ?」

涼介が不安げに尋ねる。


「直接侵入するのは最終手段ね。まずは倉庫に出入りするトラックの動きを追うべきだわ。どこで何を積み降ろししているのか、それがわかれば密輸の実態を掴む手がかりになる。」

香織は冷静に答え、ノートを取り出してメモを取り始めた。


三人は倉庫の少し離れた位置に隠れ、トラックの出入りを観察することにした。工業地帯の無機質な雰囲気に、トラックのエンジン音が重なり、冷たい空気が張り詰めている。


「おい、あれ……さっきから何台も出入りしてるけど、どれも荷物が同じトラックだぞ。」

涼介が指差した先には、同じロゴが描かれたトラックが次々と倉庫を出入りしていた。


「ええ、橘貿易の主要な輸送手段のようね。でも、トラックの動きが不自然に見えるわ。」

香織は時計を確認しながら言う。


「どう不自然なんだ?」

涼介が尋ねると、香織はメモを見せた。


「通常、これほど短時間で出入りするトラックは荷物を積み替える余裕がないはずよ。それなのに、異常な速さで動いている。」


芹沢が頷きながら補足する。

「おそらく、密輸品を隠すために二重の輸送ルートを作っているのでしょう。まずここで一度荷物を分け、それを別の場所へ運んでいる可能性があります。」


「つまり、この倉庫だけじゃなくて他にも怪しい場所があるってことか。」

涼介は眉をひそめながら納得したように頷いた。


しばらく観察していると、一台のトラックが倉庫を出て行った。香織はすぐに立ち上がり、芹沢に声をかける。

「あのトラックを追いましょう。」


「了解です。ただし、距離を保ちつつ、相手に気づかれないように注意しましょう。」

芹沢は慎重に車を発進させた。


涼介は助手席で不安げに後部座席の香織を振り返った。

「大丈夫か?こんな風に追跡してバレたらマズいだろ?」


「大丈夫。相手に警戒心を抱かせないように、一定の距離を保つわ。」

香織は双眼鏡でトラックの動きを見つめながら答えた。


トラックはしばらく大きな道路を走った後、人気のない廃工場に向かって曲がり始めた。三人はさらに距離を置いて車を停め、徒歩で近づくことにした。廃工場は錆びた鉄骨や崩れかけた壁が目立つ、まさに隠れ家にうってつけの場所だった。


「……やっぱり、ただの倉庫じゃなかったか。」

涼介が小声でつぶやいた。


「ここが密輸品を隠す中継地点かもしれないわ。」

香織は慎重に足を進めながら周囲を観察する。


「工場内に人の気配がありますね。」

芹沢が小声で指差した方向には、数人の男たちがトラックから荷物を降ろしている姿が見えた。


「この距離じゃ話は聞こえないな。どうする?」

涼介が香織を見た。


「まずは状況を把握するわ。その後、隙を見て近づけるか判断しましょう。」

香織は冷静に答えた。


次の選択肢

1.廃工場に潜入し、密輸品の確認を試みる

•リスクを冒して内部に侵入し、直接証拠を掴む。

2.遠くから引き続き監視し、相手の動きを記録する

•無理に動かず、相手の行動パターンを探り出す。


涼介の一言


「おいおい、今度は廃工場かよ……こういうの、映画とかで絶対ヤバいことになるパターンだよな。」

涼介は苦笑しながらも、不安そうに香織を見つめる。


「でも、ここで証拠を掴まなきゃ、この件は進まないんだろ?だったら、やるしかないよな。」

その言葉に、香織は頷き、慎重に次の一手を考え始めた。


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作者から読者へのメッセージ


新たに見つかった廃工場。橘貿易の密輸ルートの核心に迫る香織たちは、次にどんな行動を取るべきか――大胆に動くか、慎重に観察するか。どちらを選んでも危険が伴いますが、それが探偵の宿命です。


読者の皆さん、香織たちをどの道に導くか、ぜひ選んでください!次回も息を呑む展開をお楽しみに!

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