食前の薬

金子ふみよ

第1話

 二日続けてのことである。

 朝の食前の薬を夜寝る前にテーブルに準備している。そのはずなのに、朝起きてみると二日続けてその漢方薬がないのである。テーブル脇のゴミ箱を見ても落ちているわけはないし、テーブル周りを探してもない。ただ、台所にある大きなゴミ箱の中には空いた漢方薬がある。この二日間に共通しているのは、飲みすぎていたという点がある。いつの間に寝たのかも記憶にないくらいだ。酩酊するくらいに飲んだつもりはないのだけれど、実際がそうなのだから、飲みすぎなのだろう。その記憶の無い状態で深夜に朝食前の薬を飲んでいた、と考えるよりも他にない。ちょっとしたミステリーなどと戯れてないで、飲み過ぎに気を付けなければならない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

食前の薬 金子ふみよ @fmy-knk_03_21

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る