第12話「N級精鋭、深層へ――Kクラス魔物との死闘」
週末、青空の下、ワシらは馬車で遺跡へ向かった。Nクラス4人組はある種の威圧感を放つ。ガルスが「このメンバーならMやL程度の魔物は軽く捌けるな」と豪語するが、レイアン先輩は「油断しないで。LクラスならN3人がかりで対処が必要よ。Kはさらに上、4人でようやく対抗できるレベル。」と釘を刺す。リールは地図を眺め「制御室跡まで行くなら、下層には格上がいても不思議じゃない」と緊張している。
遺跡は前より大規模で、入り組んだ通路が続く。Nクラス相当の我々にとってN級魔物(最弱)やM級魔物(N2人いれば倒せる程度)は大した問題にならない。最初に出たMクラス相当の狼型魔物も、ワシとガルスの連携で難なく撃破。リールが遠距離支援し、レイアン先輩が横から牽制すればMクラス魔物など容易い。Lクラス魔物に遭遇してもN3人がかりで倒せる計算、4人揃っていれば更に安全だ。
通路を進むと湿度が上がり、古代文字が刻まれた壁が現れる。リールが光魔法で照らし、ワシが罠をチェック。小型の毒針や落石程度は簡単に見抜いて回避できる。ガルスが前衛でモンスターをなぎ倒し、レイアン先輩は的確なサポートで被害を最小限に抑える。順調だ。
しかし、深部に差し掛かったとき、空気が変わる。魔力が濃密になり、嫌な圧迫感が襲う。レイアン先輩が眉をひそめ「この気配…Kクラス相当の存在が潜んでいるかも。みんな気を引き締めて。」
KクラスはNから3ランク上(n→m→l→k)で、N級4人でようやく対等に戦えるレベルの魔物。ここで出会えば大一番だ。
次の部屋へ足を踏み入れた瞬間、床が振動し、巨大な蟲型魔物が姿を現した。全長2メートルを超える硬い外殻を持ち、赤い目が不気味に光る。Kクラス相当の強敵だ。N4人いないと厳しい相手に、まさかこんなところで遭遇するとは。
「きたか…ガルス、左から牽制!リール、関節部狙いの魔力弾で動きを鈍らせて。レイアン先輩、前衛で攻撃を受け止めて隙を作ってください!」
ワシが指示を出すと、全員が素早く対応。蟲は硬い外殻で物理を弾き、鋭い触手を突き出す。レイアン先輩が盾のように立ちはだかり、触手を受け流すが、その衝撃で先輩が後退。「硬い…!一撃が重い!」
Kクラス相手だ、当然だ。ワシとガルスが両サイドから斬撃を入れるが硬すぎて簡単には壊せない。リールの魔力弾が点在する関節部を狙うも、蟲が暴れ回って狙いが定まらない。
激しい戦闘の中、蟲が不規則な動きで壁を叩き、石片を飛ばす。リールが石片を避けきれず、足を滑らせて転倒。「きゃっ!」足場が悪く、崖のような窪みが後ろにある。リールが落ちそうだ。
ここでワシは即決する。蟲の触手が迫る中、ガルスは正面で応戦中、レイアン先輩は敵の体当たりで態勢崩し、余裕がない。ワシは魔力を足に込め、一気にリールのもとへ跳ぶ。腕を掴み、落下寸前で引き上げる。「大丈夫か、リール!」
リールは目を潤ませて「ごめん、助かった…」と震える声。顔が赤い。心臓が高鳴る。
「気にするな、戻って支援を続けてくれ!」
リールを救った直後、蟲が先輩めがけて牙を剥く。先輩が防御を試みるが足元が崩れてバランスを失う。「くっ…!」
ワシは迷わず駆け寄り、短剣で触手の根元を斬る。ガルスが援護のため上部から攻撃を加え、隙ができる。先輩が押しつぶされる前にワシが肩を貸し、引き剥がすように救出。「先輩、無事ですか!」
先輩は息を整え、「助かったわ、バル…あなた、瞬時の判断が凄い。」
助け出した仲間たちも気合を入れ直す。リールは潤んだ目でワシを見つつ、魔力弾を関節部へ集中させる。ガルスは剣を叩き込んで外殻にヒビを入れる。レイアン先輩が正面から一撃を加え、ワシは最後に急所を突く。4人の連携で蟲は悲鳴を上げ、崩れ落ちる。
Kクラスの強敵をN4人で倒した。理論通りだが、実際の戦闘は冷や汗もの。だがこれで自信がついた。Nクラス4人集まれば、上位ランクの魔物にも対処可能だ。
リールは顔を赤くし、目を逸らしながら「ありがと…本当に…」と消え入りそうな声でお礼を言う。いつも挑発的な彼女が、こんな弱々しい態度を見せるなんて。
ワシも少し胸が高鳴るが、「これで任務続行できるな。気を取り直して制御室跡を調べよう。」とあくまで冷静を装う。
制御室跡で古代文字の写し取りや魔力測定を行い、必要な資料を確保。任務完了だ。帰り道、リールがワシの横を何度もちらと見る。助けられた瞬間が頭から離れないらしい。ガルスは気付いていないが、先輩は軽くニヤリとしてワシを見る。
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