第12話 王城

 

 俺はティオスの家を片付けをした。王国から、ティオスに宛てた手紙の束を持ち去った。そして、葬儀と埋葬をした。

 

 彼は自分のことをほとんど話さなかった。最後の最後迄、使命に、彼女に忠実だった。


 王都で幸せに暮らしている彼の孫に手紙を書き、妻の墓の隣に墓を建てた。


「じゃあな、ティオス」


 俺は彼からもらった物で身を包み、エルダの店に向かった。


「お別れを言いにきた」


「戻っておいで。あら、そのペンダント? 何でもない」


 彼女は、まるで不審な物を見るような目で俺のペンダントを見た。


「やはりな」


 俺はエルダに自供させ、ペンダントに細工を頼んだ。


「そろそろ王都に向かおう」


 途中で魔物も目についたが、無視して王都に向かう。


 早く着きすぎると、ティアが目立ちすぎる。だから、計算して動いた。


 その日は快晴だった。そして、俺と彼女は十九歳になった。


 レイラ女王の戴冠式は、夜に行われることになった。昼から変更された。王城の門は固く閉ざされ、周囲は静まり返っていた。


 広範囲にわたり、城への接近が禁じられ、近隣住民は家に帰れず、借宿への移動を余儀なくされていた。


 それに伴い、パレードも中止され、翌日に変更された。


 俺は、市民活動家達のアジトに行ったが、既に逮捕されていた。


「彼女の思い通りにはさせない」


 このために生きてきた。俺は、間違わない。


 俺は郊外にティアを隠していた。さらに、先の丘に、多くの人々を見つけた。


 そこには、各地から集結した王国軍、王女近衛隊、例の騎士団長たち、そしてかつての同僚たちの姿があった。第二王子が指揮官をしていた。


 見たことない数の大砲が、王城に向けられていた。


 俺はティアに乗り、夕日が沈む丘に降り立った。


「ここで何をしている? 彼女はどこだ?」


 軽いパニックが起こったが、静まると顔見知りの者たちがやってきた。


「姫様は王城に、一人で囮になっている」


 彼ら、彼女はみんな泣いていた。


「レイラ様のご命令でここにおります。我らの使命は、これから起こる魔物襲来に備えること」


 騎士団長は肩を震わせ、涙をこらえていた。最悪の作戦、それでも最善の策だ。


「ああ。だが、俺は好きにやらせてもらう。運命から俺が救う」


「頼みます」


 そこにいる全員、第二王子ですらも、俺に頭を下げ懇願した。



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