第9話 ドラゴン
「そんな事があったのか?」
ティオスは驚き、卵を見たが、何の卵かは知らないと言った。
「まあいいさ」
二度目の春になり、俺は遠出をするようになった。
障害だった氷魔鳥も魔矢に怯えて、上空に逃げ、その先のダンジョンに辿り着いた。
残された詳細な地図に記されていた通りだった。
だが、そのダンジョンの攻略は一筋縄ではいかなかった。
外にいる魔物よりも、更に強い魔物、ゴーレムが多く、階層や迷路、トラップが山程あった。
何度も死にかけたが、セルフヒールにより、回避できた。
そうこうしているうちに、俺は17歳になった。
「今年はいらないぞ」俺は、ティオスに恥ずかしいが宣言した。
「そうもいかん。受け取れ」
「何だ? これじゃあ、一流の戦士じゃないか?」
明らかに、最高品質の武器と防具だった。
「王国から、余物だと受け取ったものだ。俺は引退したから、お前にやろう」
俺の体の一回り大きくくらいの寸法で、どう見ても、比較的小柄なティオスがもらうのはおかしいだろう。
武器と防具で鍛錬と調整をしていたら、三度目の冬がやってきた。
真冬になると、魔女が再び現れた。魔力を奪いに来たのだ。
「一つ、教えてくれないか。卵だと思うんだが、これは孵化するのか?」
「……お前、魔力注いでない……」
「じゃあ」更に質問をしようとしたが、魔女に手を取られて、俺は気を失った。
真冬で、出かける事も無いので、卵に手をかざして、魔力を注いだ。
やがて、光のさす温かい春の日、小さなドラゴンが生まれた。俺は、やっと出来た親友にティアと名付けた。
優しい目をした子だ。その額には、眷属を現す紋章があった。
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