神崎家の絆は無敵です。
橋本衣
第1話 神崎家の秘密(その1)
午前7時、朝の日差しが照らすリビングにいつもと同じテンションで向かう。向かえばいつもと同じ人達が、居る。
「おはよう〜」
「あはよう、
「ん、今日日直だから、早めに、、今日洋食?」
「うん、和食にしようとしたんだけど、ハムが今日までなの忘れてて」
そう言って、コーンスープを俺の座る席に置く母こと
「父さん、おはよう。新聞読み終わったら、頂戴。行く途中で読む」
「分かった。なるべく早く読むよ」
そう言って、コーヒー啜る爽やかな父こと
「千花お兄ちゃん、!おはよう!」
「千花兄、おはよう」
「2人共おはよう。早く食べなよ」
「「はーい、!/分かってる」」
何て真反対な返答をしたのは元気で可愛い妹こと
「、、幸斗お兄ちゃん、トマト食べて」
「、、俺がトマト嫌いなの知ってるでしょ」
「「、、、、お兄ちゃん、お願い」」
「はいはい、俺の皿に移しな」
「「わーい!」」
何て言いながらトマトを俺の皿に瞬時に移す2人。すると頭上からコツンッという音がして見上げるとお弁当を持った母が居た。お弁当を幸斗に渡しながら、
「もう、千花ったら、2人を甘やかさないで、、幸斗、今日何時に帰ってくる?」
「、、、、19時前には帰る。部活ないから友達と遊ぶ」
「そう、千花は?」
「今日は授業5時間目までしかないから19時前には帰れると思う」
「お父さんは?」
「俺か??少し仕事やってから帰るつもりだから、19時ぐらいには帰れるぞ」
「分かったわ。朱莉、今日お母さん14時から仕事あるから、鍵持って行きなさい」
「はーい、!」
朱莉が元気良く挨拶すれば優しく微笑んであかりの頭を撫でる母。流石と言うか、何と言うか、俺らをここまで育てたのは伊達じゃないな、何て思いながら食パンを齧る。
俺の名前は
・・・・・・・・・・・・・・・・
「じゃ、行って来まーす」
「言ってらっしゃーい」
「千花ちゃん」
靴を履いて、玄関の扉を開けようとしたら、背後から声をかけられた。
「おばあちゃん、どうしたの?」
「これ良かったら学校に持って行きなさい、、はい」
祖母こと
「どら焼きと鯛焼き?」
「朝イチで買って来たの。千花ちゃん、両方好きでしょ?」
「そうだけど、、だから朝居なかったのね、、ありがと、友達と一緒に食べる」
「じゃ、俺行くね」
「あぁ、行ってらっしゃい」
俺はおばあちゃんに感謝してから家を出て高校に向かって教室に入ると友人達が既に座っていた。
「千花〜、おはよう〜」
「千花、はよ。何持ってんの?」
「千花ちゃん!おっはよ!」
「3人共おはよう。これはおばあちゃんから貰ったどら焼きと鯛焼き。、、、、食べる?」
鞄を置いて友人3人に中身が見える様に置いて聞くと、3人は、
「「「食べる〜!」」」
「はい、どうぞ」
「パクッ 美味っ!久しぶりに食べると、やっぱり美味いな〜」
「だよな!ぁ、俺は鯛焼き尻尾から食べる派!」
「俺は頭から食べる派。どら焼きあんまり食べないから良いかも」
何て三者三様の喋り方をする3人こと、左から
「ぁ、そう言えば、千花、まーた、告白されたんだって?次は大学の経済学部の2年の先輩に!」
そうどら焼きを口に入れながら思い出したかの様に言って俺に詰め寄る大翔。
「?あぁ、、うん。された、付き合ってください。って言われた」
「言われたって、、、、それで、返事は?」
「ごめんなさい。今は恋人とか作る気はありません、って言った」
「ぇ、マジ!?あの先輩だよ?!学内でもトップに入るぐらい美人って有名な!」
「てか、千花はこれで何回美人、美女から告白断ってる訳!?」
「落ち着いて、、確かに、千花は小学校からイケメン、、ぁ、美人系美少年って良く言われてて、挙げ句の果てに花の姫王子って呼び名が付くぐらい顔は良いけど」
と、あり得ないって顔をしながら再び俺に詰め寄る大翔を落ち着かせながら俺の変な紹介をする瑞貴。すると、横でお茶を飲んでいた、誠が思い出したかの様に俺を見つめて一言。
「千花の家族って全員美形だよな」
「、、、、へ?」
「いや、智也おじさんは40代半ばとは思えないぐらい若々しいし、爽やかイケメンで、奈央子おばさんは多分歳は一切取らないんじゃないかぐらい綺麗系美人で、
朱莉ちゃんや幸斗は美少年、美少女でこれからの成長楽しみだし、正枝おばあちゃんはほのぼのしてて可愛い」
と、真顔で言いながらお茶を啜る誠に俺は少し引きながらも、一応お礼は言っとく。
「そっ、ありがと」
「イケメン2人何話してんじゃ〜」
「イケメンって、千花はともかく、俺は、笑」
「誠だってイケメンだって騒がれてたじゃん」
「2人共それぐらいにしときな、じゃないと、ぁ」
「お前ら自分の顔面偏差値の高さ知らないとは言わせないからな、その整えた髪崩してやる〜!!」
そう叫んだかと思ったら俺らの方に突進しようとしてくる大翔を必死に留めている瑞貴に俺と誠はただただ笑う事しか出来なかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「美形家族ね〜、全然顔似てねーけど、」
何て呟きながら夜道を歩く。家族全員系統が違う顔立ちだけど美形だから周りからは系統違いって思われてるだけ。
本当は、、、、
「ただいま〜」
月光が照らす午後7時、家に帰宅する。家に入ると、リビングが賑やかだと気づき、俺は靴を脱いでリビングに向かう。
リビングに入ると、そこには、
「お父さん、見て〜、可愛くない?この服着た
「あぁ、可愛いなぁ」
「じぃじ、抱っこ!」
笑顔に白いレースが付いたワンピースを来た姪こと咲穂を父さんに見せる長女こと
「母さん、このチーズの生ハム巻き、おかわり」
「秀哉、ちょっと飲み過ぎよ」
「だって〜、やっと仕事が一通り終わったったし〜」
ビールの飲み干して母さんを呆れさせている長男こと
「、、、、姉さん、兄さん来てたの」
「おっ、千花〜、見て咲穂可愛くない?」
「可愛いけど、姉さん
「仕事で遅くなるからって、私達だけで来たわよ」
「千花君、撫でて!」
「そう、、、、兄さん、
咲穂の頭を撫でて、鞄を置いて兄さんに声をかける。
「実家帰ってる。お義父さんが腰痛めたから、って」
「ふぅん、」
そう言って俺は椅子に座ると、元気な足音を響かせ、リビングに入ってくる3人に目をやる。
「美咲お姉ちゃん!このリボン咲穂ちゃんにどう?、って、千花お兄ちゃん、帰ってたの!?」
「秀哉兄、急にアルバム持って来いとか無茶言わないで、って千花兄帰ってたんだ、おかえり」
「美咲ちゃん、秀哉ちゃん、おばあちゃんのお友達が作ったシュシュとネクタイ良かったら使ってくれない?」
「あら、千花ちゃんおかえりなさい」
「ただいま」
笑顔で咲穂に色んなリボンを見せる朱莉と小学校中学校のアルバムを兄さんに見せる幸斗、手作り感あるけど綺麗なシュシュとネクタイと姉さんと兄さんに渡すおばあちゃんに俺はそう言った。
「ぁ、そう言えばこの前、咲穂の送り迎えお父さんしてくれたじゃん?今日保育園の先生に、「歳の離れたお兄さんとかですか?30代後半ぐらいに見せたので」って、言われたんだけど」
「ぇ!パパそうなの?!」
「確かに良く30代後半ぐらいに見られる事あるかも」
「本当はお父さん、47歳なのにね、笑、、秀哉、ビール辞めなさい、せめてほろ酔いにしなさい」
「母さんだって良く間違われてね?」
「確かに母さんも父さんも若く見られる事多いもんね」
俺はそう言いながら、ビールを飲もうとしている兄さんからビールを没収する。すると、おばあちゃんが、微笑みながら、
「若く見られる事はいい事じゃない」
「「「「「「「おばあちゃん/ばあちゃんにだけは言われたくない」」」」」」
「???」
咲穂以外の俺らは揃ってそう言う。おばあちゃんも外見は60代ぐらいにしか見えないぐらい若々しい。
「千花君、千花君」
すると、俺の服の袖を掴んで引っ張るのは咲穂で可愛く俺に声をかける。
「ん?何、咲穂」
「あのね、あのねママは29歳、じぃじは47歳でしょ?」
「うん、そうだね」
「じぃじが18歳の時にママが産まれたでしょ?」
「そうだね」
「でね、ばぁばは41歳でしょ?なら、ばぁばが12歳の時にママが産まれてるって事?」
「正解、良く分かったね」
これを聞いておかしいと思った人達はいるだろう。俺も可笑しいと思っている。
この家は周りから見られたら普通の家だと思われる、だけど家の事情を知れば異質だと感じる人達が殆どだ。
いつも優しく時には厳しく元保育士の母41歳。
「千花、夕ご飯の後に苺タルト食べてくれない?今日作ったのよ」
少し抜けているけど優しくて頼りになる父47歳。
「あぁ、あれな、結構美味かったぞ」
娘LOVEでちょっとお馬鹿だけど優しい長女29歳。
「咲穂のアルバムが増え続けてるんだけどどうしよう」
酒弱いけど酒が好き、それ以上に家族が大好きな長男25歳。
「分かる、俺も嫁も家族の写真が気付いたら増えてる事あるわ」
顔以外は全部普通趣味は料理スイーツ作りと絵を描く事な次男こと俺18歳。
「兄さん達の家族愛はそろそろ呆れると言う領域に入りそう」
思春期だけど優しくてちょっとツンデレな次男16歳。
「朱莉、、そっちのリボンお気に入りじゃねーの?」
いつも明るく優しく家族を照らす我が家のアイドルな次女11歳。
「うん、!だけど、咲穂ちゃんに似合うと思うんだ!」
どんな時も家族の味方になって優しく包み込んでくれる祖母78歳。
「お母さん、ちょっとお茶淹れてくれないかい?」
この8人で家族だ。何処にでも居る普通の家族、、、、
全員血がつながってないと言う事実を除けば、
神崎家の絆は無敵です。 橋本衣 @yuitakahasi
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