第8話 真面目と狂人は紙一重

【ヨグ=ルトソース】それがヒバナのPC名


「お前なぁ……最悪ふざけてもいいけど、神の名前を付けて変な地雷フラグ踏んだらお前のせいだからな」


時間や空間を操る事ができる様な規格外の邪神。それが【ヨグ=ソトース。】

ヒバナの奴は傲慢にもその神と同じ名前を付けやがった。無いとは思うが変なフラグを踏んで死亡エンドなんて絶対に嫌だ。


「こんな神ゲー作る会社がそんなクソゲーみたいな死亡エンド作らないって。そういえばまだヤサガラスさんとは合流できてないんだね」


「あぁ、あの人の職業的にこっちから連絡するのは難しそうなんだよな……」


「確か精神科医でしたよね?」


 そう、ヤっさんの職業精神科医とPCプレイキャラクター名《《三ツ星》》《みつぼし》《はじめ》は蛭助GMから聞いた。ヤっさんの事だからふざけることはないだろうがヒバナの事もあり一応聞いておいた。

こいつは結構を付ければちゃんと教えてくれる。しかし聞いたこと以上の事は話さない。それの最たる例がヒバナだ。職業を聞いただけではPC名に関して全く口にしなかったにも関わらず、聞けばすんなりと答えた。気を付けなければ事故りそうな部分ではあるが、うまく使えば情報を引き出せそうだ。


「あっ!……ヤっさんが精神科医なら、この犯罪爆発花火職人の精神状態を見てもらう名目で電話できないかな?」


「酷い言いようだなぁ、私がどんなに考えた末爆発させたか知らない癖に……」


ゲームが開始してまだそこまで時間たってないと思うんだけどな……と蛭助の方を見て提案してみる。


『…………可能です。PC名《《三ツ干一》》《みつぼしはじめ》に電話を掛けますか?』


 時が止まるとは正にこういう事をいうのだろう。一瞬、頭の中が真っ白になった。PC名に関しては音声で聞いたため脳内で勝手に【三ツ星一】と認識していた。しかし目の前には【三ツ干一】と表示されていた。カオルは表情的に気が付いてない、ヒバナに関しては爆笑している。


「ミッ〇ーじゃねぇか!!!」


 気が付いたら一人で叫んでいた。




「あ、もしもし?今こっちから電話をかけようと思っていたところだよ」


 電話をかけた直後ヤっさんはワンコールで出た。


「ちょっと⁉ヤっさん!まだカラーの方は著作権切れてないですよ⁉ってそんなことじゃなくて何ですかその名前!」」


「あぁ、この名前?久しぶりのPLプレイヤーだからさ、ちょっと悪ふざけしたくなっちゃた」


なんの悪びれも無いなんならウキウキとした声色で話し始めている。

あれ?ジョーカーはヒバナだと思ってたけどもしかしてこの人も大概ヤバいか……?


「私一回だけヤサガラスさんと同じPLとしてやったことあったけど、そん時私以上に暴れてたからね」


何か後から聞きたくない悪魔みたいな情報が聞こえたような気がするが気のせいだろう。


「三ツ干さん、出来れば合流したいんですけどこれからできそうですかね?」


「そのことなんだけどさ、一回うちの病院に来てくれないかな。患者から良さそうな情報が手に入りそうなんだよね」


確かに精神病院には俺の調べる事件の被害者やその家族が患者として来そうだ。カオルも刑事だし関係者と言っておけば俺とヒバナが居ても何とかなるだろう。


「了解です、今からそっちに向かいますね」


スーツ姿の二人とサラシを巻いている不審者一人で病院へと向かうのであった。

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