カオス・ルルイエ~クトゥルフ神話VRPG~
シャコック
第1話 ミ=ゴミ=ゴパニック
それらは1.5mほどの大きさがあるだろうか。大きな羽音轟かし、薄桃色の甲殻類のような胴体には蝙蝠のような翼、何対もある蟹のような爪、何より恐ろしいのが頭部は入り組んだ楕円形であり、目や口、耳や鼻は無く多数の短い触覚に覆われていたことだ。
そんな光景を見たあなたの精神は大きく動揺するだろう。
「そーんな君はSAN値チェック!」
「っざっけんなああああ!!なんだこのクソシナリオは!開幕早々ミ=ゴが出て来るってどういうシナリオだ!?」
VR内のため音は出ないが自分でも見事といえる台パンを繰り出した。それもそのはず、今俺がやっているのは
このゲームの肝は物事の成否をダイスで決めることにある。極論運が良ければどんなヒョロガリキャラクターでも筋肉ムキムキマッチョマンを一方的に殴り殺すことができるゲームである。無論逆もしかりだが……
「......ほらほら早く振りなよ、どうしたの?」
ロリ体型のアバターでサディスティック笑みを浮かべ、ダイスをせかすこいつヒバナという。TRPGではゲームを進行する
そのためGMの練習がしたいから協力してくれ、と言われ一人用シナリオのPLをしたがこいつのGMは最悪だった。
簡単に説明すると、RPGで勧められたキャラの弱みを突いてくる中ボスをいきなり登場させたも同然だ。
「はーやーくーアララギくんのSAN値は30だからね」
SAN値とは精神的な体力を表す。最大値が99のためこのキャラクターはSAN値がとても低い。何なら最低値である。このキャラクターを作ったのは誰でもない俺自身だ。だから非は俺にあるように見えるだろう。しかし待て、言い訳がある。
「お前がSAN値減少ほとんどないシナリオっつったんだろうが!」
「事実このシナリオのSAN値減少はここだけだよ、はい判定失敗ね。SAN値減少1D6を振ってね」
しぶしぶ100面ダイスを振り出た目は43、出目としては悪くないが31以上の目はすべて失敗、無意味なのだ。
ああもうクソがっ!GMがこれならPLとしてこちらも刃を抜かせてもらおう。刺し違えてもミ=ゴ一匹は殺してやる。取りあえず1d6だ、六面ダイスを一回振ろう
「は???」
そこには6の数字が
「あははっ運がないねぇ~~~、一度で五分の一のSAN値減少だから不定の狂気発症ね。」
俺は基本ダイスの女神に嫌われている。大事な場面で発狂するわ、ファンブル連発するわ散々だ。だから基本的にダイスに頼らずRPやリアルアイディアで何とかするのが俺のプレイスタイルだ。まぁしかしこのスタイルはKPによっては快く思わない人もいるから様子見しつつやっている。だが今のとこRPの余地はなく只々ヒバナのサンドバック状態だ。
「てことで狂気度ロール、1d10をふってね♪」
俺のキャラクターは精神が大きく削れたことにより発狂してしまう。その発狂内容をダイスで決めるのだが出た目は...
「4だね。えーとどんな内容だったかな?」
「奇妙な性的嗜好、露出症、過剰性欲、奇形愛好症など、か」
「うわっえっぐいの引いたね~どうする?一旦脱いどく?」
ふむ、俺としてはもうこのクソシナリオとクソGMとはおさらばしたいところだ。自分の作ったキャラクターにこのような仕打ちは些か心苦しいものはあるが致し方あるまい。
「ミ=ゴは複数体いるんだよな?」
「うん3体いるよ」
「それじゃ全裸になって一番近いミ=ゴに襲い掛かります」
「…へ?」
よし、ヒバナの悪辣な笑みを困惑している阿保面にすることができた、これはもうシナリオクリアといっても過言じゃなくね?
「俺は今ミ=ゴが異常なほど妖艶な色香を漂わせているように見える、元々精神力が低いキャラだ襲い掛かっても不思議じゃないだろ?」
「うーん、まぁ変ではない...かな?」
「だったらそのままミ=ゴと(物理的に)結ばれてハッピーエンドか、返り討ちに会ってバッドエンド!これでシナリオ終了だ!!」
俺はもう二度とヒバナがGMの卓ではやらないと心に誓った。
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