脳筋お嬢様、勇者の操作ミスでダンジョンに飛ばされる。
美澪久瑠
エピローグ
異世界「ワーク・ワールドパワー」
この世界では「ダンジョン」と呼ばれる穴がある。
そこにはモンスターや、お宝、経験値などがゴロゴロ転がっており、Fランク、Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランクの6つにランク分けされている。
ランクが上がるにつれ、ダンジョンの仕掛けや、モンスターが手強くなるかわりに、お宝や、経験値が美味しくなる。
なので、一般的にはDランク、Cランクの人口が多い。
最近は、ダンジョン攻略を配信する「ダンジョン配信」が流行っていて、勇者「のっとデンジャラスっ」が配信をしたところ、爆発的に流行ったらしい。
ちなみに、勇者に対抗して、魔王もどっぷりハマっているという噂がある。
そんな、世間の目を浴びまくる勇者は現在何をしているのかと言うと…
「勇者様〜!!!そろそろ準備できましたか〜?」
ダンジョンの準備中だった。
甘ったるい声を出しながら、トテトテと背の高い男に抱きつく猫耳フードとゆらゆらと揺れる尻尾が特徴の幼女。
身長は130cmくらいで、大きなピンク色の瞳と、肩まで伸びた白に近いピンク髪。
人懐っこい笑みを浮かべてすりすりと腕に顔を擦り付けている。
その脇には、身長に合わない大きな杖がある。
棒に青い球体が刺さっており、その周りをくるくるとピンクの小さな球体が3つ回っている。
彼女の名前は「アユ・ラブカ」
見た目に合わない凄腕の魔法使いであり、タンクである。
固有スキルは
「ラブ化」体の柔らかさをあげ、回避能力をあげる。
効果時間30分
「Love化」半径10m以内の敵を魅了し、ヘイトを買う。
「深海」ダンジョン内自動発動スキル。
攻撃力が高い水属性魔法に強くなる。
しかし、攻撃力がない水属性魔法には発動しない。
「こら、ラブ、まだ準備中だから、私と一緒に遊ぼう。ね?」
「えぇ…ケムノ姉たばこ臭いからラブは断固拒否するのです」
ケムノ…本名は「ケヤキ・ネムノ」
ヤニカスで真っ黒な肺をお持ちのおばさ…お姉さん。
今年で三十路を迎えることには触れないでおこう。
周りをよく見る視野の広さと、天才的な頭脳を活かし「司令塔」の役割をこなしている。
固有スキルは
「煙に巻く」大げさなことを言いまくり、相手を混乱させる。
混乱時間は最低5分。最高1日。
「植物歌」植物を愛する気持ちを歌で表し、どこでも植物を生やす。
戦闘能力は皆無なので、基本的に超後方支援をしている。
ケムノは、ボサボサの黒髪を右側にまとめた髪の毛をイジイジ。
赤い目でチラチラとラブカの方を見る。
「…」
「…」
その姿をジト目で見るラブカ。
「あー…ラブは賢いからケムノ姉が何を言いたいかわかるのです。」
「じゃぁ、私がラブにやってほしいこと、わかるよね?」
にっこり笑顔でラブカの顔を覗き込むケムノ。
「でもケムノ姉はたばこ臭いから絶対遊ばないのです〜!!」
全速力で勇者のもとへ走る。
一方ケムノは、その場でラブカを覗き込んだ姿勢のまま、心のなかで泣いていた。
流石に大の大人が外で泣けない。
…泣けない…のだが…
「ラブに振られたぁぁぁぁぁ!!わーーーーーん!!」
ロリコンおばさんには少々辛かったらしい。
「ロリコンおばさんって言うなぁぁぁぁぁ…」
おっと失礼。
「勇者様ー。準備できた〜?」
「うん。できたよー…ってケムノは?さっき向こうに遊びに行ってたよね?」
ラブカに抱きつかれた青年。
そう。こいつが一世を風靡している「勇者」だ。
きつね色の髪の毛は、毛先にかけて白くなっており、それを一束にまとめている。
頭のてっぺんには、大きなきつねの耳があり、お尻にはきつねのしっぽが3本。
タレ目がちな赤い目。
スラリとした体躯。
「勇者が歩いた道には必ず20人の女性がついていく。」
と、言われているくらいモテている。
名を「ケヤキ・フォクス」
ケムノの弟で、ドジっ子獣人。
固有スキルは
「植物歌」植物を愛する気持ちを歌で表し、どこでも植物を生やす。
「九尾」尻尾の本数が増え、戦闘能力が大幅に上がる。
「キツネ」常時発動スキル
警戒力、嗅覚、聴覚、視力、足の筋力がすごく良くなる。
獣人のなかでも、戦闘能力に欠けた「
このスキルを使い「魔術師」の役割をこなしている。
「ケムノ姉は向こうで泣いているのです。」
「はぁ。もうすぐで三十路を迎えるおばさんがなにを泣いているのだか…。」
わざと大きな声で言ったフォクス。
それを聞きつけたケムノは、鬼の形相でフォクスに詰め寄る。
「だーれがおばさんですって〜????キツネ汁にしてやろうかぁ?あ゙ぁ゙ん?」
「さて。ダンジョンに入るか!」
ヤンキーと化したケムノをフル無視し、フォクスはBランクダンジョン入室の最終確認をする。
「あ、勇者様。ちゃんとキューも連れて行ってくださいよ?この前なんかキューを置いていってコテンパンにやられるわ、キューはへそ曲げるわで…」
「…その話をしないでおくれよラブ…あの時は本当に申し訳ないと思ってるからさぁ…。」
キュー…本名は明かされていない吸血鬼。
昼間は太陽の光のせいで、動きがトロくなってしまうので、大きな棺桶の中にいる。
胸まである白い髪の毛。真っ黒な瞳。ものすごくイケメン。
フォクスと同じくらい背が高く、いつも肩にコウモリを乗せている。
固有スキルは
「吸血」相手の血を飲み、飲んだ相手のスキルを5分だけ借りることができる。
「
吸血鬼の性質…夜の間だけ、コウモリの羽をだして飛ぶことができる。
「あ。」
「あ゙ぁ゙?どうしたんだ?キツネ汁ぅ」
「ケムノ姉!!たとえ血がつながっていてもその呼び方はやめてください!で、ホントにどうしたんです?勇者様?」
青ざめた顔で2人を見て、
「知らない人をダンジョンに送っちゃった…」
「「は」」
脳筋お嬢様、勇者の操作ミスでダンジョンに飛ばされる。 美澪久瑠 @mireikuru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。脳筋お嬢様、勇者の操作ミスでダンジョンに飛ばされる。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます