神仙伝説〜武侠世界の転生者、二周目で最強に至る〜
@bunsendousi
第1話 プロローグ
全てはあの時始まった。
前世の記憶を思い出したあの日から。
俺には地球という場所で生き、そして若くして事故で命を落とした記憶がある。
一度目の人生、俺は正直なところ平凡だった。
大した才能もなく、努力ませず、親に負担ばかりかける毎日。俺は自分の嫌な部分を全て人のせいにして、殻に閉じこもっていた。
才能がないのは親のせい。
不登校なのはつまらない授業をする教師のせい。
遊び呆けるのは周りのせい。
俺は何も悪くない。
ーーーそうやって自分を騙して生きていた。
本当は全部自分が悪いのに、それを認めるのが怖かったのだ。
そしてあっけなく俺は死んだ。
いつものように半グレの友達とお酒を飲んで騒いだ帰り、酔ったまま赤信号の交差点に飛び出して車に轢かれた。
クソみたいな人生だった。
しかし俺の人生はそこで終わらなかった。
気がつくと俺は異世界に転生していた。
そこには武林が存在し、俺が転生したのはその武術界でも有数の力を誇る『四川唐家』だった。
俺は喜んだ。
最初の頃は前世の記憶と今世の記憶の両方があることに混乱したが、俺はこれは人生をやり直すチャンスだと気づいたのだ。
それからの行動は早かった。
武術界に『四川唐家』『諸葛世家』『慕容世家』『南宮世家』『山東岳家』『皇甫世家』『西門世家』『河北彭家』という八つの名家が存在し、その力は一家で国を一つ滅ばせるほど。
俺はそんな名家の中でも特に強大な勢力を誇る『四川唐家』の四男に生まれた。
つまりいつ死んでもおかしくない。
例え当主の直系の四男でも武林においては力こそが全て。弱ければ滅びるのがこの世界の道理。
ならば一刻でも早く強くなる必要がある。
前世の記憶が蘇った俺はすぐに武術の修行を始めた。
前世の後悔を二度と繰り返さないため、そしてこの世界で生き残るため、俺は文字通り死ぬ気で頑張った。……それはもう、毎日吐血するぐらいに頑張った。
幸いなことに俺には武術の才能があった。
武術の修行は主に外功と内功に別れるが、前世の記憶や早くから修行を始めたおかげで、どちらも極めて早く高い境地に達した。
そして気がつけば俺は武林最強の座に至っていた。
だから油断した。
俺はこの日を決して忘れない。
もうこの世に俺に敵うものはいないだろう。その慢心が俺や俺の愛する者の命を奪ったこの日を。
そいつは唐突に現れた。
雲のさらに向こうの仙界に住むと言われる仙人達。その一人によって俺の全ては奪われた。
「ハハハハハ!実に滑稽。武林最強といえどもこの程度か!自分の弱さを悔やみ死に行くがいい!」
目の前で愛する妻を殺され、友人を殺された。そして、その日『四川唐家』は滅亡した。
俺は己の全てを持って復讐の炎と共にそいつに挑んだ。
しかし俺はそいつに敵わなかった。
「下界の者の割にはよく持った方だろう。褒美に楽に殺してやろう!」
あまりに自分とかけ離れた実力の前に俺は地に這いつくばることしかできなかった。
この日俺は二度目の死を経験した。
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