ぼっちちゃん

@HANAMIHANATABA

第1話

 ──私の名前は、栗原ぼっち。皆からは、ぼっちちゃんと呼ばれている。私はいつも、目立たないように窓側の席で、いつも小説(ラノベ)を読んでいる。

「よう。ぼっちちゃん・・・」

その漆黒の髪を触りながら、私みたいなのに喋りかけてきた田中みなみ。

「なっ・・・なに」

私は怯えた声で言った。田中はその怖い瞳で、私を見つめてくる。

「あんたさぁ、遊ばないの?」

「えっ!? いや、私は・・・」

私はひどく怯えた声で答えた。どうしたものだろうか・・・・。このままいくと、私の自制心は壊れてしまう。

「そんな怯えなくていいじゃん。ねえ、由利」

田中の声に反応した山本由利は、待ってましたと言わんばかりに、私の手を掴んで言い出した。

「そうだよ。そんなに怯えなくても、私たちは何もしませんよ!」

「そうだろうか・・・」と、私はそう思った。心の声が漏れそうになった瞬間、教室にチャイムが鳴り響く。

「みんなー、座ろ」と、誰かが言い放った。田中も由利も自分の席に戻った。



 三時間目が終わり、四時間目は先生がいないことから自習になった。そして私は、女子トイレに籠っています。トイレの異臭を解き放つため窓を開けていたら・・・、

「おい、ぼっちちゃん。なにしてるの?」

後ろから声が聞こえた。私は振り返ると、そこには、田中みなみと山本由利がいた。

「げっ・・・!?」

レモン色の髪を揺らしながら、山本由利は近づいてきた。

「なにしてるんですか? 今は自習ですよ!」

少し膨らんだ顔は、全ての男子を虜にすると言われている。田中は、私の腕を掴んでトイレから引きずり出そうとした。

「ちょ・・・、なんでそんなに!!」

「なんでって、あんたがかわいそうだからだよ」

田中は、少しためらいながら言った。私はその反応に、少しイラっとしたが、「ありがとう」と、思ってしまった。

「行くぞ。由利」

由利と田中は、私の腕を引っ張ってトイレから引きずり出した。四時間目が終わったチャイムが鳴り響いた。

「しかし、ぼっちちゃん。いつも、あんなところにいるのか?」

私は、田中に当然のように答えた。

「そうだけど・・・」

由利は私に驚いていた。そりゃそうだ。あんな臭い女子トイレに、数時間いたんだから。二人は私の腕を掴んで離そうとしなかった。それが私には、理解できなかった。少しだけ、心の穴が埋まったような気がする。


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