ジェネリックぴのこ
しゅんさ
プロローグ:ぴのこの遺産
ぼくの名前は「ぴのた」。父さんの名前をちょっとだけもじった名前だって母さんは言っていたけれど、正直言うとあんまり気に入ってはいない。だって、僕は父さんのことを知らないんだ。父さんはぼくが生まれる前にチュパカブラに食べられて亡くなっていたから。
でも、父さんの影はどこまで行ってもぼくを追いかけてくる。母さん、がらどんどんのせいだ。
「ぴのた!あんた、まだ原稿書き終わってへんの?今日のノルマは4000文字言うたやろ!」
がらどんどんは怒鳴るとき、ものすごい迫力がある。イノシシのマスクこそもうかぶっていないけれど、目つきが同じくらい鋭いから、それだけで十分怖い。
「わかってるよ!でも学校の宿題だってあるんだ!」
ぼくが抗議すると、母さんはすぐに答える。
「そんなん知らん!ぴのこはんやったら宿題なんかほっぽり出して小説書いてたわ!」
そう、母さんはぼくのことを「ジェネリックぴのこ」として育てたいらしい。父さんみたいに、トドノベルで称賛されるような立派な作家になれって。でも、ぼくには父さんのような才能なんてあるのか、正直わからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます