パーティを抜けたい俺vs引き留めたい彼女たち

クククランダ

第1話 決心と報告



 雲一つない快晴、程よく暖かい気候とポカポカの陽気で眠くなってしまう。活気で満ちた街は今日も賑わっている。



 そして俺、ラルクはパーティメンバーの3人に向かい合っている。今日こそ、言うんだ。そう思うと自然と真剣な顔つきになっていく。俺はまっすぐと3人を見る。



「………」



「?? どうしたの?」



 首を傾げるのは銀色の髪の女性のアリエス。特徴的な赤い目と腰に携えた剣、そして何より背も高いことも相まって傍目から見たら王子のような雰囲気のカッコいい女性だ。うむ、美人である。



 俺は2人目に目を向ける。



「………」



「んー? どうしたの?」



 不思議そうな顔で見るのは金色の髪の女性のイレーゼ。いつも少しだけ笑っている口元、そして何よりあのジトリとした目に引き込まれそうになる。大変綺麗な美少女である。



 俺は3人目を見る。



「………」



「……?? なに?」



 薄紫の髪色に2人より小さな身長のニーファ。特徴的なのはその長い耳。この世界でも中々いないエルフと呼ばれる種族で魔法使いだ。俺たちより遥かに年上だが、身長もあって可愛いらしい。



 そして今、紹介した3人が俺のパーティメンバーだ。実力もさることながら顔面偏差値も高い、言うことなしのパーティだ。



 そんな3人に俺はとうとう言うんだ。もう先延ばしにはしない。俺は一度、目を閉じて深呼吸して心を落ち着かせる。



 よし、落ち着いた。



「3人とも、凄く急なことで申し訳ないんだけど」



「?? 何か報告でも忘れてたの?」



「いや、まぁ報告と言えば報告なんだけど。私用って言うか、言おう言おうとしてたんだけど結局先延ばしにしてた報告と言うか」



「えらく歯切れが悪いね。そんなに言いづらいことなの?」



「うーん、そんなに言いづらいことでもないけど。なんか申し訳ないって気持ちが強くなるんだよ」



「とりあえず言って見たら? 私たちは怒ったりしないからさ」



 イレーゼの言う通りだ。こいつらは怒ったりしない。それは仲間として過ごしてきたから良く分かってる。一体俺は何を迷ってたんだ。こいつらは俺が失敗をしても怒らなかった。



 俺は悩んでるのが馬鹿らしくなってきた。俺は3人に頭を下げる。



「本当に勝手で申し訳ないんだけど! 俺、パーティ抜けて良いか!?」



「何馬鹿なこと言ってるの? そんなの駄目に決まってるじゃないか」



「ラルクも変なこと言うね。そんなの無理だよ」



「あんまり変なこと言ってると魔法ぶつけるよ?」



 え〜? さっきまであんなに怒らないって言ってたのになんか今は顔がみんな怖いんですけど。笑ってるのに目が笑ってないアリエス。いつも通りのはずなのに雰囲気が怖くなってるイレーゼ。シンプルに怖いこと言ってるニーファ。



 俺は3人の顔を見てやばいことを言ったことを改めて知った。

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