第2話 せりのおひたし

「貴方をスカウトしに参りました」


「断る☆」


 呆然とする騎士さんを尻目に、僕は献立の一品を作るために準備を始めた。


 今回使うのはせり。かの有名な春の七草の一つだ。水辺や湿地に自生する植物である。


 せりの根を切って、塩を加えた熱湯に入れてさっとゆでる。


「冷水は……無いから作るか」


「料理の合間にさらっと氷魔法と水魔法の掛け合わせとかいう離れ業を。やはり貴方は天才魔女……!」


 冷水に取って冷まし、4cm長さに切って水気を絞り、しょうゆをふって水気を絞る。


「みりんは……忘れたから取るか」


「おいおいおい。転移魔法も使えるなんて。この世界で指を数えるしかいないんだぞ!?」


 転移魔法で取ってきたみりんを加え、カツオ節をまぶしたら完成!


 せりのおひたしー!


「やはり貴方は大魔導師様の教えを受ける権利が……!」


「うるさいなぁ。合間合間に喋らないでくれるかな。気が散るんだけど。ほら、せりのおひたし食べよ」


「モグモグモグ。美味い!」

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