冬のテーマ詩集

空野ゆり

テーマ1「ゆきだるま」

朝日の前にひっそりと佇む

誰かの喜びの痕跡が

キラキラと凍って光る

バケツの下の笑顔


溶けて消えてしまう前に

道端に微笑み続けて

陰日向に傾く

風になびく枯草のように


霜柱を踏みしめる子供たちのステップ

下校のチャイムと共に弾け出していくスキップ

近付いてきた手袋はそっと

落ちかけた手足も鼻も押し上げてくれた


パンザマストが鳴るまでは

もう1度そばにいてくれる


小さな背中は隣に

もう1人の自分を置いた

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