フューチャーポリス タケル 死の決意

森康雄

第一章 追跡

 東京の深夜、街灯の明かりだけが暗闇を照らしている。刑事タケルと彼の相棒である刑事犬ロッキーは、街の裏通りを静かに走っていた。タケルは鋭い眼差しで前方を見据え、ロッキーもまた何かを察知したかのように吠える。


「ロッキー、静かに。これが最後のチャンスだ。」


 タケルの声は冷静であったが、その目には決意の炎が燃えていた。彼らは数ヶ月にわたってテロリスト集団のボスを追い詰めており、今夜がその決着の時であった。


 突然、ロッキーが激しく吠え始め、タケルは拳銃を抜いて走り出す。暗闇の中、何者かの影が動くのが見えた。タケルは息を潜め、声を低くして命令する。


「警察だ!立ち止まれ!」


 しかし、その声が夜空に響くと同時に、銃声が鳴り響き、タケルの身体が強い衝撃を受ける。彼はその場に倒れ込む。ロッキーはすぐにタケルの元に駆け寄り、必死に吠え続けたが、タケルの反応はない。


「タケル!タケル、起きてくれ!」


 ロッキーの悲痛な鳴き声が夜の静寂を切り裂く。しかし、タケルは静かにその目を閉じ、動かなくなってしまった。犯人の影は闇に紛れ、何処かへと消えていった。


 その夜、タケルの同僚たちが現場に駆けつけるが、時すでに遅し。彼らはタケルの遺体を静かに担ぎ、最後の道のりを教会へと進むことになる。

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