第四章:訓練の日々
翌朝、ルミナは早くから目を覚ました。新しい環境に興奮しながらも、心の奥には不安が渦巻いていた。シリウスの指導がどれほど厳しいものになるのか、想像するだけで緊張した。
朝食を済ませ、シリウスとの訓練場所である広大な庭園へ向かう。庭園は四季の魔法が調和した美しい場所で、春の花々が咲き誇り、冬の氷が美しく輝いていた。
「遅いぞ、ルミナ」
シリウスが冷たい声で言った。彼はすでに庭の中央に立ち、凛とした姿勢で待っていた。
「すみません、急ぎましたが...」
「言い訳は無用だ。まずはお前の力を見せてみろ」
ルミナは緊張しながらも、自分の中にある春の力を感じ取る。胸元の花冠が微かに光り、彼女は手を伸ばして周囲の花々を呼び寄せた。すると、一瞬にして色とりどりの花が彼女の周りに集まり、優雅に舞い上がった。
「ふん、それなりに使えるようだな」シリウスは頷いた。「だが、ただ花を咲かせるだけでは足りない。攻撃魔法も覚えなければならない」
「攻撃魔法...ですか?」
「そうだ。春の力には癒しや成長だけでなく、戦いにも使える側面がある。まずはその基礎を教えてやる」
シリウスは手を振り上げ、冷気をまとった氷の矢を作り出した。それをルミナに向けて放つと、矢は空中で静止し、彼女の目の前に突き刺さった。
「これが冬の魔法だ。お前も同じように、自分の力を武器として使うことを学べ」
ルミナはその言葉に背筋が伸びた。彼女は自分自身の力を武器として使うことができるのか、不安と期待が入り混じる。
「さあ、やってみろ」
シリウスの挑発的な声に応え、ルミナは心を集中させた。春の力を感じながら、自分自身を信じることに決めた。
「春の風よ、私に力を!」
彼女は手を前に突き出し、小さな風を生み出す。その風は次第に強まり、小さな花びらが舞い上がった。しかし、その力はまだ弱く、不安定だった。
「もっと強く!お前にはそれだけの力がある!」シリウスが叫ぶ。
ルミナは再度心を集中させた。自分の中に眠る力を引き出そうとする。その瞬間、胸元の花冠が眩しく光り始めた。
「お願い...私にはできる!」
彼女の叫びと共に、一瞬で周囲が春の光で満たされていく。風が強まり、大きな花々が咲き誇り、その中から巨大な花弁が飛び出した。それはまるで攻撃するかのように、シリウスへ向かって突進していく。
シリウスは驚いた表情でそれを受け止めた。「よくやった!だがまだまだ甘いぞ!」
その言葉にルミナは嬉しさと悔しさが入り混じった感情を抱えつつも、更なる成長への意欲を燃やした。
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