昆虫ずかん

@otonomame

第1話

みなさん”小説”というものをご存じでしょうか。そう、あのずらあっと書かれた文章を書いてそれを原本で発行していろんな場所に送り、多くの人が読むあれです。

正直、この”小説”というのを知ったのはつい先週のことでして。ですからわたくし、

この’小説’というものをいままで読んだことがございません。1冊たりともです。

ですから俄然興味がありまして、とある作家さんのおうちにお邪魔させていただき、

彼から面白い話を聞いたのでございます。今回はこれを”私”が記す”という形になります。



「昆虫ずかん」

 僕は自分がうわさされるのが好きだ。でも自分に陰口を言われるのは嫌いだ。

あるとき本に載っていた言葉を思い出した。

”なぜみんな周りと合わせるのか、自分を見捨てて他と共通したいのか私にはわからない”

 山岸やまぎし 信介しんすけは自分とは違う人たちを見て、ときには優越感を感じ、あるときは嫉妬心を持っていた。高2になってからは部活をやめ、塾に通うようになっていた。彼はいわゆるがり勉に変わったわけで周りからも次々と友達がいなくなっていった。もともとの人数もあまりいなかったのだが彼は一人がいい性格だったので気にしなかった。朝・昼に学校、夜に塾の生活だったのでろくにごはんも食べていない。信介自身は自分を”食生活も怠るぐらい勉強している天才”だと思っていたのだがテストの点数が上がらないのはたぶん普通にごはんを食べてないからだろう。

 ある日信介は学校の図書館にあるものを読みにきた。

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