第13話 脱出

熱い、目が痛い、息苦しい

これは思った以上に過酷だ。BSはよくこんな中飛び込んだものだと今更ながら感心した。コンタクトレンズが溶けそうだ。外したら外したで裸眼0.01では行動も取れない。何れにしろ早くここから脱出してしまおう。

2階には2人、老人が倒れていた。まだ息がある。煙を多く吸っている。危険な状態だ。火元は1階。脱出経路はバルコニーからしかない。とにかく急いでバルコニーに2人を出そう。

今はまだスタンダップの発動はない。火事場のくそ力というが、それにすがっていたら手遅れになる。1人ずつ確実にバルコニーに運んでいく。

何とか運び終えた。はしご車を呼ぶ。するとお婆さんから、1階にまだ居ると囁くように声があった。俺は消防団員の制止を振り切り、火元である1階に急いで向かった。消火活動のお陰で、火は少し弱まっている。煙をなるべく吸わぬよう姿勢を低くしながら1階を探す。どうやら同じ建築会社の建売り物件であるようだ。部屋ならすぐ見つかった。その部屋の真ん中のベットの上に先程のお婆さんより更に高齢のお婆さんが眠っていた。無事を確認するより先に、俺はお婆さんの身体を持ち上げ玄関へと向かった。最近の四角い構造の建売り物件は、廊下を出来るだけ無くし、部屋から部屋へと地続きだ。これなら玄関まで早い。部屋を出てリヴィングを通ると玄関はすぐそこだ。

玄関を蹴破り外に出る。

天井が崩れ私の背中に何かでかいものがのし掛かる。

消防団員が駆け寄る。

倒れた俺の身体に冷たいものがかかる。背中に重く熱いものがのし掛かっているのを感じていた。コンタクトレンズはどろどろに溶け私の目はもう何も見えなくなっていた。


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