小野壱青年が望まなくても怪異はやってくる

 記憶力はいいほうじゃない。


 だから、家族や親戚の人に「子供の頃は……」なんて言われると「なるほど確かにそうだったかもしれない」とうなずいてしまうほど、過去の記憶はぼんやりとしている。外にはよく遊びに出かけていたし、友人とも遊んでいたと思う。


 もしも、すこし変わっていたとしたら、田舎という土地柄か、動物好きの子供だった俺は、一人で裏山に冒険に出かけることもたくさんあって、大人を大変、困らせていたらしいということ。


 どんな冒険だったかは今ではハッキリとは覚えていない。


 ただ、そんな俺の冒険譚をばあちゃんはいつも笑って、話を聞いてくれていたことだけは覚えている。

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