ノスタルジーは突然に

みお

第1話

「転校生の紹介をする。白谷未奈さんだ」

美菜は松野先生に手招きされ教壇に登る。

「お久しぶりです。白谷未奈です。」

なぜここにいるのかはわからない。未奈は転校などしていないはずだった。

「白谷さんのことはみんなの方が知ってるね。先生も3年生の時に受け持ったから知っている。また仲良くしてやってくれ。」

クラスメイトが拍手をしている。唯一1人ポカンとしている森くんと目があった。

「森の隣が空いてるからそこに座りなさい」

おしゃれな女子たちの目がギラリと光る。

私はこんな目で見られてたのか。

幼馴染たちの目線が恐ろしくなる。小学生も女は女だ。

「みーちゃん!おかえりー!」

「みな、帰って来れたんだね」

クラスメイトが近づいてくる!

「ただいまー!なんかよくわかんないけど帰ってきちゃった。」

私はクラスメイトたちと会話する。本当になぜ私はここにいるのだろう。

私を歓迎している女の子たちは隣に座る森くんをチラチラと見ている。

さすが学年一のモテ男。

「授業始まるぞー。」

チャイムが鳴った。松野先生の退屈な授業が始まる。一方通行な授業だ。眠気が増してくる。私は小学生のテストならきっと満点を取れるだろう。

「白谷さん、起きなさい。」

「あ、すみません。」

「大人になったな。」

「いえ、そんなことないです。」

松野先生がいわゆる鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

驚かせて悪いな。小学生って難しい。未奈は遠い目をした。


2時間目は遠足の班決めのようだ。転入すぐ遠足か。普通なら嫌だな。

なんで男女同じ割合なんだろう。男子だけ女子だけじゃダメなのだろうか。

頭に浮かぶ数々の疑問を心に押し込める。

「みーちゃん一緒の班になろう!」

「うん!」

私はすでに壊れかけの小学生6年生の仮面を被り直した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ノスタルジーは突然に みお @m103o

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る