第5話 仕事
「仕事」
仕事、終わらせないとな。
自分を鼓舞するようにつぶやいて、机の前につく。今日はもとよりその予定だった。PCを開くと、彼女とのツーショットが画面いっぱいに映し出された。
自分でも驚くくらい眉間にしわが寄って、ため息をつく。
少しでも忘れようと、日常に、関係の無いところに逃げようと思って、やっと予定通りのところにやってこれたのに。
自分のPCのホーム画面を変えるところから、仕事が始まった。
あっという間のような、ものすごく長い時間机と向かい合っていたような、気がする。
さっきまであれほど煩雑だった頭は、不思議と晴れ渡っていて、体の感覚が研ぎ澄まされていく。時折、目が乾燥して少しだけ現実に引き戻される。それでも、頭の中には依然仕事のことを考えていて、気づけば20時を回っていた。
ため息をついて席を立つ。
学生時代を久しぶりに思い出す。大学を目指していたころはもっと必死に生きていたものだ。もしかすると仕事でここまで集中したのは初めてかもしれない。
キッチンに向かって、お湯を沸かした。別に健康や美容を気遣っているわけでもないが、いつの間にか俺にも染みついていた。大学時代なんかはこんな時は断然コーヒーだったが、彼女はそれを死ぬほど嫌がった。(実際に死ぬわけでもなんでもないけれど。)
またこれだ。とため息をつきながら今晩の飯を何にするかを静かに考え始めた
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