猫が会いに来ました
天川裕司
猫が会いに来ました
タイトル:猫が会いに来ました
(精神病棟)
その日、精神病棟から1人の女が退院した。
ドクター「心を落ち着けて、これまでの生活の繰り返しにならない様に、そう言った刺激物からはなるべく遠ざかる様にしてください」
ユカリ「はい、わかりました」
女友達「よかったね、ユカリ」
ユカリ「うん」
しかしこのあと、悲劇が起こった。
ユカリは自分の気持ちのはけ口として
その感情を動物に向ける習性があった。
ドクターはそれを精神疾患の1つと捉え、
ユカリをずっと入院させたまま
その心の病をなんとか根底から治し、
その生活と将来を改めさせようとしていた。
しかし、確かに精神疾患はあったのだろうが
それを上回る形で、
ユカリ自身の罪の度合いが大きく、
そのことをユカリは自ら欲してやっていたのだ。
このことに誰も気づかなかった。
心の中の事、誰も見えない壁に阻まれ、
彼女の正体を見抜けなかった。
それから数ヵ月後して。
ユカリの周りではまた
動物がどんどん消えてゆく事態になっていた。
特に猫。
女友達「………」
彼女の友達はなんとなく
その実際を見抜いていたが、
なにぶんユカリのことであり、
精神疾患に苛まれていた事実も知っていたので
それ以上踏み込むのが怖く、
もう端(はた)からその様子を
見て居るだけに留まっていた。
ドクターも、彼女が来診しなければ
その実質を知る事はなく、他の患者の診察に大童。
しかもユカリは今回のことで
さらに知恵をつけたのか。
簡単には人にバレない様に
そのつど様々な細工を施し、
闇から闇へと流れるように
その犯罪を繰り返していた。
なぜ彼女の女友達が
その事実を知ったかと言えば…
寝子「フフ、あなたはユカリさんのお友達でしたよね?だからとりあえず伝えておきます」
寝子「あなたは良い人。彼女は悪い人。だからあなたは彼女からもう離れ、関わらないようにしたほうが身のため」
寝子「近しい人が無くなれば、あなただって悲しいでしょ?だから」
なんて不思議なことを言う人が突然現れ、
その時に、ユカリにまつわる真実のすべてを
その女友達に伝えていたから。
その不思議な人の名前は
寝子(ねこ)さんと言った。
寝る子はよく育つ…なんて意味合いを
込めてその人の両親がつけたのだろうか?
そんな冗談を思う間もなく、
彼女ことユカリに、
取り返しのつかない悲劇が起きたのである。
(喫茶店)
ユカリは事を終えた後、
喫茶店に行ってひとときを過ごすのが好きだった。
そのとき寝子さんは彼女の前に現れた。
ユカリ「え??この高級エスプレッソ、奢ってくれるの♪」
寝子「ええどうぞ♪」
ユカリが前から飲みたがっていた
そのエスプレッソ。
それをユカリが飲んだ直後のこと。
ユカリ「…ど、どういうことよ…それ…」
寝子「フフ、その薬はあなたがしてきたことを体現させてくれるもの。ちょっと舐めたぐらいじゃ大丈夫な場合もあるけど、あなたが飲んだのは劇薬だったの」
そう言って、
寝子さんはその場でふっと消えたらしい。
その直後、ユカリはその場にバタン!
と倒れたのである。
ユカリが飲まされたのは「猫いらず」。
そのお店は閉店になっちゃったけど
なんとも猫らしい気まぐれ・わがままぶり。
でも人間がその猫にしたことを思えば、
これも当然と言えば当然か…
猫からすれば、
そんなことをする可能性のある人間全てが、
敵に見えて仕方がないこともあるのだろう。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=C2ktvrP5Ntk
猫が会いに来ました 天川裕司 @tenkawayuji
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