自分を見ている

天川裕司

自分を見ている

タイトル:自分を見ている


俺はいっときから、

アパートの部屋の中に自分が居るのを見て居る。

そして今、部屋の外の道端にも、

俺がぽつんと居るのを見ることがある。


(回想シーン)


「さぁ今日から忙しいぞ♪」

仕事が決まったその日、俺は1人でお祝いした。


パソコンでライティングの

仕事が得意だった俺は

そのニーズが丁度合う会社を見つけ、

そこで働くことが決まった


会社の人も俺も歓待してくれ、

これまでしてきた努力が全部報われた!

そんなふうに人生の絶頂を味わっていたんだ。


でもある時、その会社が倒産してしまい

その会社から紹介された別の会社に行ってはみたが

そこでは打って変わったように

俺の事はもう必要ないとし、

俺は結局やめさせられた。


「なんでだよ!!くそう!!」


世間ではこんなこと果たしてよくある。

「俺だけじゃない」

と何とか気持ちを立て直し、

また就活にいそしんだ。


でも、やっぱり就職氷河期。

俺はいっときから精神疾患を患ってしまい、

もうまともに外で働く事ができなくなっていた。


それに追い打ちをかけるように

少しでも合いそうだった

仕事先がどんどん消えてゆき、

もう界隈では仕事ができない状態になっていた。

そんなことがもう継続して10年続いたんだ。


就労支援施設という所にも行ってみたが

そこでは、

「在宅ワークの方向で一緒に考えて行きましょう♪」

なんて初めは本当に暖かく迎え入れてくれ、

本当にそちらへ動いてくれそうな気配で

その気にさせてはくれたが、

それは気配だけで、

一向に在宅支援を推奨する事は無かった。


10年間、ほっとかれたような形になってしまい

挙句、そこでさえ辞めさせられる結果に落ち着き、

唯一、将来を安定させる可能性のあった

職場さえ失ってしまった俺は、

放り出されたような感じで

世間に1人ぽつんと浮いてしまった。


そして貯金が底ををつき、

家賃さえ払うことが出来なくなって、

そのアパートを

追い出される結果になってしまった。


ある日の夕暮れから夜にかけ、

それまで住んできたアパート前の道端に立ち、

俺が住んでいたあの部屋を見上げる。


夢と未練だけはやはり残るのか。

あの部屋にまだ俺が居る。

部屋に点けられたその光と共に。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=L48AvSny448

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自分を見ている 天川裕司 @tenkawayuji

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