指を鳴らす

金子ふみよ

第1話

 今、指の骨を鳴らして、ふと思った。いったいいつからこの癖はなったのだろうかと。はっきりとは思い出せない。小学生の頃、テレビでカンフーか何かの映像を真似したけれど、できなかったような記憶はある。

 少なくとも高校の頃には鳴らしていたと思う。なぜなら、はっきりとしていることが一つあるからである。高校の頃付き合っていた彼女から

「関節が太くなってリングが入らなくなる」

 みたいなことを言われて以来、左手の薬指だけは鳴らさないようにしているからだ。実際、他の関節と比べて、四十になる我が手をじっと見ても、差が大きくあるようには見えないが、やはり左手の薬指だけは鳴らさないようにしている。

 癖と言うのは無意識でもやってしまうから、こうして文章を書いている途中でもおもむろに鳴らしてしまっていることがある。少なくとも他人が不快になるような癖にならないように気を付けるのみである。

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指を鳴らす 金子ふみよ @fmy-knk_03_21

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