強制暗示の最凶魔王 ~役立たずと捨てられた俺が復讐を誓い魔王へと至るまで~
森林木林
第1話 王道召喚
好きなものは読書、嫌いなものはスポーツ全般。
ちょっとだけ運動神経の悪い、ごく普通の青年である俺はいつも通り、窓際最後列の席で本を読みながら
「よう。まーた読書ですか?真面目くん」
いきなり馴れ馴れしく肩を組む男子生徒。
こいつの名は
運動神経抜群のサッカー部エース。
それだけに留まらず、容姿端麗成績優秀というこのクラスの中心人物だ。
何が気に食わないのか知らないが、二年で同じクラスになってから毎日の様に絡んで来るうざったい人間の一人だ。
「彼方、まーたそんなもやし君に絡んでんのか?お前も飽きねーなぁ」
次いでやって来たのは常に三山の隣を陣取っている取り巻きその一、
両サイドを刈り上げ、金の髪を立ち上げた厳つい風貌。
いわゆるヤンキーというやつ。
女目的で三山の隣を陣取り、喧嘩だけならこのクラス一強い(らしい)。
「そうだよー。そんなヒョロヒョロ君なんかより、三山君のが100倍カッコいいしー」
「ねー。毎日毎日本ばっか読んじゃってさ。暗すぎてキモいよねー」
校則を完全に違反した露出度の高いギャル二人組。
金髪黒ギャルの方が
茶髪白ギャルの方が
容姿が非常に優れていて、二人揃って三山を狙っている。
「はは。キモいって言われてるぜ。言い返さなくていいのかい?真面目くん」
「………………」
三山の挑発を、俺は無視する。
こういう手合いは反応を楽しんでいるのだ。
無視、無反応を続けていればそのうち飽きるというもの……と考え、過ごして半年。
未だに続くこの愚行にいい加減俺は苛立ちを覚えていた。
「おい!彼方が話しかけてんだろーが!聞こえてねーのか?ああ!」
横溝が強引に俺から本を取り上げたその時、ビリッと不快な音がした。
そう、本が破れてしまったのだ。
この瞬間、俺の中で何かがキレた。
「はぁ……毎日毎日飽きもせず、そんなに一位が取れないのが悔しいか?学年二位の三山君?」
三山が俺を気に食わない理由。
それに一つだけ、心当たりがある。
それは学年テストの順位だ。
一年から二年三学期の今まで、俺はずっと学年一位を取り続けている。
そして、三山はずっと学年二位。
まさかこんなしょうもない事で絡んでいるとは思いたくなかったが、三山の反応を見る限り図星の様だ。
「テメエ……今なんつった!!」
三山が胸ぐらを掴み、拳を振り上げた。
しかし、その拳は割って入って来た一人の男子生徒に止められる。
「三山君、止めるんだ」
「そうだよ。暴力は良くないよ」
クラス委員の二人組。
男の方が委員長の
文句なしのイケメンで剣道部の主将、学力も俺や三山に次いで3位。
その上、この鏑木高校理事長の孫という家柄まで待ち合わせた完璧超人だ。
そして女生徒の方が副委員長の
黒髪ロングのThe・清楚系といった容姿をしており、たぶんうちのクラスで一番人気の女生徒は彼女だろう。
二人とも正義感が強く、世話焼き。
大して仲の良くない俺が絡まれていても、こうして助けに来るくらいには優しく、勇気を持っている。
「鏑木ぃ、邪魔すんな。理事長の孫だからって手加減しねえぞ」
「僕が誰の孫であろうと関係ない。君が正しくない行いをしているから、僕はそれを止めに来ただけだ」
二人の間に一触即発の空気が漂う。
「やめなよ!」「ちょっ、誰か先生呼んで来て!」「喧嘩だ、喧嘩!!」
周りのクラスメイトたちもざわつき始めた、その時だ。
床が青白く輝いた。
いや、床だけではない。
教室全体が光に包み込まれている。
いつの間にか足元には幾重もの線が現れていて、何かの模様が描かれていた。
「え、ドアが開かない」「閉じ込められたの?」「どうなってんだよ、これ」
誰かが教室から出ようとするが、どうやら外に出られない様子。
そしてそのまま光は爆発的に輝き、青白い光が教室を満たした。
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