睡蓮のとき

珠洲泉帆

睡蓮のとき

あの池で泳いでみたら

どんなに気持ちのいいことだろう

やわらかな日光を受け

睡蓮をかき分けて腕を伸ばす


水滴を垂らしながら水から出たら

枝垂れ柳の木陰で休む

大気の香りを胸いっぱいに吸いこんで

さわやかな風の音に耳を澄ます


岸辺に咲くアガパンサスの写真を撮って

舟遊びをする人たちに手を振って

アイリスの花畑の間を縫い

帰り道はチャリング・クロス橋を渡って


やわらかな日光

さわやかな風

さざめく水音

ひそやかな笑い声


それが 絵画から受け取ったもの

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

睡蓮のとき 珠洲泉帆 @suzumizuho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ