第11話 ギルド『飛竜の翼』
⸺⸺飛竜の翼アジト⸺⸺
今度は思いっ切りソファに飛び込んだが胸の締め付けは全くなかった。
「うわぁ、快適だー!」
「良かったね、ユア」
レイが微笑みかけてくれる。
「うん!」
「ま、一件落着って事で、ギルドの説明をしなきゃだな。ユアのいたセルフィス王国はギルド連盟に加盟してねぇし……」
ジークはそう言いながら私の向かいのソファへドカッと腰掛けた。
「うん、お願いします」
「俺たちは『飛竜の翼』って名前のギルドを作ってギルド連盟に登録してる。ギルドって組織は、所謂会員制の何でも屋だ。一人でも複数でも登録できて、各町にあるギルド支部で仕事を仲介してもらえる」
私は頷きながら「ふむふむ」と相槌を打つ。
「魔物討伐から店の手伝いまで色んな仕事があるから、明日お前の登録に行ったときにでも、どんなのがあるか見てみるといい」
「うん、分かった。私も出来そうな依頼をこなしたらいいんだね」
「んだな。初めのうちは一緒にやろう。慣れてきたら俺らが普段してるみたいに各々個人でやるって感じだ」
「分かった。頑張るね!」
それからは私も家事の分担に加えてもらい、みんなで空き部屋の掃除をして家具を運んで、私の部屋を用意してもらった。
それが終わる頃には日も暮れてきたので、みんなで酒場へ行き私の歓迎パーティをしてもらえた。
酒場の料理は庶民の味であったが、屋敷で食べる息の詰まる料理の100倍美味しく感じた。
そう言えば両親に何も言わずに出て来ちゃったから今頃向こうは大変な事になってると思うけど……不思議と不安はなく、きっとジークが守ってくれるから、と気楽にいくことにした。
アジトに帰ってお風呂を借りて自分の部屋へと入る。
すると、ラグーンが私の部屋のベッドで丸くなって眠っていた。
「あ、ラグーン」
『ユア、帰ったか』
ラグーンはパチッと目を開けると、ベッドに座り直す。
「何か、用事あった?」
『あぁ。ドラゴンの間で少し話題になっていてな。その羽の生えた黒猫の事だ』
私は驚いて黒猫ちゃんの方を見る。黒猫ちゃんも同様に『にゃんと……』と驚いていた。
「ラグーン、見えるの?」
『やはり、人には見えぬようだな。あの気配に敏感なジークが全く触れもしなかった。我々は3匹とも認識している。我々と同じ幻獣の類なのだろうか?』
「そうなんだ……ってか、そう言えば私も良く分からないままだったよ。後で説明するって言われてそのままだったよね。それに名前も決めないと」
黒猫ちゃんはうんと頷いた。
『うむ。ユアの新しい一日も落ち着いたようだし、オイラの話をしようか』
『他のドラゴンを呼んでも?』
『いいよ。見えるんだったら隠す必要もないし』
『感謝する。すぐ戻ってくる』
私は膝を抱えてベッドに座り、ラグーンが戻ってくるのを楽しみに待った。
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