どれだけ時が離れていても、あなたは必ず側にいてくれる

三椏咲

どれだけ時が離れていても、あなたは必ず側にいてくれる

ペラペラと本のページが捲れる音が室内に響いていた。どうやら私の彼女が、日課にしている読書タイムに勤しんでいるらしい。


「今日はどんな本を読んでるの?」

「今日はね〜、これを読んでます‼」


そう言って彼女が見せてくれた本は、女性同士でお付き合いしている方のエッセイ漫画本で、この本に出てくる方達は年齢差が十歳あるカップルさんなのだそうだ。

私は、お互いのことを尊重して大切に思いながら幸せそうに過ごしている彼女達の話が大好きで、私のお気に入りの本でもある。

もちろん私の彼女もお気に入りらしく、すでに何回か読み直していたりするのだ。


「本当にその本大好きだよね」

「うん‼大好き‼」


その時ふと、一つ聞いてみたいことが思い浮かんだので彼女に質問してみることにした。


「ねぇ、もしも私たちの歳が離れていたら私たちどうなってたと思う?」

「え?う〜ん、そうだな〜」


彼女が私の質問で頭を悩ませ始めたので、私も彼女の顔を横目に見ながら考えてみることにした。

もし私と彼女の歳が離れていたら、彼女は大学生で、私は社会人で忙しく働いているのだろう。そうなると出会うことすら難しいと思う。

彼女と出会うことのない世界、私の生活の中に彼女がいない人生になるかもしれない程の歳月。十年とはそれだけ大きな年月なのだ。

それだけ人生が大きく変わってしまう程の年の差があるのに、この本に出てくる彼女たちは出会いそして付き合って、今もお二人とも幸せそうに過ごしている。それはきっと彼女たちは必ず出会う運命で、お互いを大切に思う気持ちが大きかったからなのだろう。それはすごく尊いことなんだろうと思う。

私は十年の差が彼女との間にあったときに彼女のことをこの広い世界の中から見つけられることが出来るのだろうか、出会うことが出来るのだろうかと、自分から聞いておいて不安になってきてしまっていた。

そう思っていた時、私の質問の答えがまとまったらしく、彼女が口を開いた。


「出会って付き合って、今と変わらない生活を過ごしてると思うよ。だって私が必ず見つけ出して、あなたのことが好きです‼一目ぼれです付き合ってくださいって告白するんだから‼」


彼女のその言葉を聞いて思わず笑ってしまう。笑って嬉しくなって、さっきまで不安で暗くなりそうだった心はすでに晴れ渡っていた。

彼女と出会えて良かったと心の底から思う。どれだけ私と彼女の間に大きな年齢の差があったとしても、必ず彼女が隣にいてくれると思えたから。私はそんな彼女の肩に自分の頭を預け、二人で過ごす今の時間を大切にしていこうと誓うのだった。

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どれだけ時が離れていても、あなたは必ず側にいてくれる 三椏咲 @mitumatasaki

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