第3話
続き:城攻めアプリに嵌る
新しい職場で順調にキャリアを再スタートさせていたが、ある日、仕事の合間に暇を持て余していた私は、スマートフォンのアプリに目を引かれた。「城攻め」というタイトルが目に入る。それは、戦略ゲームの一種で、プレイヤーが城を攻めたり守ったりする内容のゲームだった。
最初は軽い気持ちでインストールしただけだった。しかし、すぐにその奥深い戦略性に引き込まれていった。城の設計や部隊の配置、敵軍との戦闘が思った以上に面白く、時間があっという間に過ぎていった。最初は気軽に遊んでいたが、次第に自分のプレイスタイルが勝利を収めるための戦略を考えることに没頭していった。
城攻めアプリの面白さは、単なる戦闘だけではなかった。資源の管理、部隊の訓練、そして敵の動きの予測など、現実の戦争に似た要素が満載だった。特に、自軍をどのように育成し、城をどのように守り抜くか、または攻め込むかという戦術を考えることが、仕事で疲れた体をリフレッシュさせてくれるような感覚を与えてくれた。
ゲームに没頭する理由
ゲームの中で、城を攻める側として進行していくうちに、次第に「何かを守り抜く」「敵を倒す」という感覚が心地よく感じられるようになった。現実世界では、あざみ園での経験から生まれた無力感や過酷さを乗り越え、再スタートを切ったものの、心の中にはまだ満たされていない部分があった。ゲームの中で「攻撃」「防御」「戦略」を駆使することが、自分にとっては一つの挑戦であり、現実で解決できなかった問題に対する心のリハビリのように感じていた。
また、ゲーム内で得られる報酬や成長は、仕事における成果と同じような感覚を与えてくれるため、達成感を感じることができた。それは、あざみ園で味わった不満や疲れを一時的にでも忘れさせてくれるものであり、日々のストレスを解消する手段となった。
競争と成長
城攻めアプリは、単独でのプレイだけではなく、他のプレイヤーとの競争も含まれていた。ギルドに参加して協力し合い、時には敵対するプレイヤーとの戦闘で成果を競うことが求められた。この競争要素に引き込まれ、私は次第にランキングや他のプレイヤーとの戦いに夢中になっていった。
最初は初心者として、うまく城を育てられず、苦戦することも多かった。しかし、次第にゲームの戦略が理解でき、効率的に資源を集めて部隊を強化し、敵城を攻めることに成功するようになった。成長するたびに、現実の生活でも自分が進歩しているような感覚を味わうことができた。
「この感じだ。自分が力をつけている実感が、現実の不安を少しずつ和らげていく。」
ゲーム内で得られる成果が、思わぬ形で自信となり、仕事でもさらに意欲的に取り組むようになった。仕事の後にゲームをすることで、リフレッシュし、次の日の業務に臨む力を得ていた。
ゲームと現実のリンク
やがて、城攻めアプリのゲーム内での成功が、現実の生活にも少しずつ影響を与えるようになった。ゲームの中で築いた戦略的な思考や、チームワークの大切さが、仕事にも役立つようになった。例えば、職場での問題解決に対して、より冷静で論理的なアプローチを取ることができるようになったり、スタッフ間で協力する意識を高めることができるようになった。
一方で、ゲームに没頭するあまり、ついつい時間を忘れてしまうこともあった。夜遅くまでプレイしすぎて、睡眠不足になることもしばしば。現実とのバランスを取ることが必要だと感じるようになったが、それでも「城攻め」による達成感や成長を感じることが、心の支えとなっていた。
未来の展望
城攻めアプリに嵌ったことで、自分自身の心の中で何かが変わり始めた。ゲームを通じて、過去の辛い経験を乗り越える力を得たと同時に、現実の仕事でも新たな目標を見つけた気がした。もしかしたら、介護業界においても、現場の改善や戦略を立てる仕事に関わることができるのではないか、と考え始めていた。
「今まで培った経験を生かして、もっと多くの人に役立つ方法を見つけたい。」
そんな思いが強くなり、再び介護業界での挑戦を考え始めていた。ゲームで得た戦略的思考やチームワークを、現実の介護業界の改善に活かせるのではないか。そのアイデアが、次のステップへとつながるかもしれないと感じた。
城攻めアプリに嵌ったことで、自分が少しずつ成長し、次なる目標を見つけることができた。ゲーム内の城攻めでの戦いが、現実世界での戦いに繋がり、私は新たな道へと進んでいく決意を固めた。
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