第2話「癒しの錬金術」



薬房「癒しの錬金術」。

看板に書かれた文字を見上げながら、私は深いため息をついた。


(なんだか、怪しい店名ね...)


前世の研究所とは、まるで違う雰囲気だ。店内に入ると、無数の薬草が天井から吊るされ、棚には色とりどりの薬瓶が並んでいた。


「さて、見習いとしての初仕事は...この月明草の管理からだ」


老人...アルフレッド薬師は、先ほど森で見つけた青い花を指さした。


「まずは、基本的な性質を把握することから始めよう」


私は早速、ノートを取り出した。茎の形状、花弁の配置、発光の様子...。科学者時代の習慣で、克明に記録を取っていく。


「ほう、なかなか几帳面だな」


「あの、先生。この花の発光のメカニズムは解明されているんでしょうか?」


「メカニズム?」


アルフレッドは首を傾げた。


「そうですね...例えば、どういう条件で光るのか、光の強さは何に影響されるのか、とか...」


「むむ。そこまで詳しく調べた者はいないな。経験則で使っているだけだ」


これは研究のしがいがある!

私の目が輝いたのを見て、アルフレッドは笑みを浮かべた。


「だが、その前にやることがある」


彼が指さした先には...薬瓶の山。


「これらを全て整理してもらおう。薬師として大切なのは、まず基本だ」


(これは...骨が折れそう)


だが、不思議と嫌な気分ではなかった。一つ一つの薬瓶に書かれたラベルには、この世界特有の薬草の名前が記されている。整理しながら、たくさんのことが学べそうだ。


「あ、この瓶」


手に取った薬瓶の中身が、不思議な動きを見せた。


「気をつけて!それは...」


アルフレッドの警告が響く前に、瓶の中身が泡立ち始めた。


そして次の瞬間—


(ああ、やってしまった...)


前世の研究者としての好奇心が、この世界での最初のトラブルを引き起こすことになった。

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