不謹慎にもホドがある‼
@k0905f0905
第1話
「オレの夢は世界一のヤクザになることです」
二階堂俊はそう宣言したあの日の小学校の教室の
何とも言えない雰囲気とざわめきをいまでも
ハッキリ覚えていた。それは忘れようと
しても忘れられない、心にまとわりつく
悪夢の塊のように、ある意味、俊を
日がな苦しめ続けていた。
「なあ、俊ちゃん、なんであんな馬鹿な
こと言うたん?」
クラスメートの布里立鞘(ふりたてさや)は
天然記念物を初めて見るような目で
俊を見て、質問を投げかけてきた。
「なにがバカなんや。オレはインチキ学者や
インチキな大人たちになるより、よっぽど
ヤクザになって華と散るほうが
立派なことやと思うとる」
俊がそう反論すると、
「せやかて、うちのおとうちゃんがヤクザ
なんか人間のクズやて」
「それはバカなのか、あえてそういうてるのか、いずれにしても
鞘のおとうちゃんもこずるい世の中のクズどもと
何にも変わらへん」
「うん」
「ええか、鞘。将来、オレが世界一のヤクザ
になったら、鞘を嫁さんにしてやる」
「ホント⁈」
「ああ、それまでこれがお別れのキスや」
俊が鞘のほっぺたにやさしくキスをした。
「うち、俊くんと別れるの嫌や」
「また、いつか会えるて。それじゃあな」
俊が後ろ手で鞘にサヨナラをした。
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