落し物
電車が来るまで時間あるなぁ、ちょい早く出すぎた…コーヒーでも飲むか。
「あ!!」
硬貨を落としてしまった。
「うわぁ…奥まで行ってないよなぁ…」
最悪だ。
自販機の下を覗き落とした硬貨を探す。
「あったあった、硬貨でも僕には大事なお金なんだ…」
硬貨に手を伸ばした時何かが触れた。
「なんだこれ?」
手に触れたそれを引き出す
真っ赤な封筒だった
「落し物かなぁ、届けるべきか」
中を見るべきじゃないとわかっていても、好奇心を抑えるのは難しい。
「こんな真っ赤な封筒なに入れるんだよ」
見るべきではないのだが、耐えきれず僕は
中を見てしまった。
女性が映った写真が1枚
裏に何か字が書かれているがかすれてよく読めない。
「なんだ?名前か? み…く…読めないなぁ。」
どこかで擦れたのだろう。諦めて駅員さんに届けに行こうとした時だった。
「すいません」
突然声をかけられた
「僕ですか?」
声をかけてきたのは写真に写っていた女性だった
女性「それ、私が落としたんです。」
僕「あ!そうなんですね、ちょうど今駅員さんに届けようとしたとこなんですよ、良かったです!」
女性「中…見ましたか?」
僕「いや…見てないです…」
咄嗟に嘘をついてしまった。
面倒ごとになっても嫌だからな。
女性「見ましたよね? ずっと見てましたよ 」
見られていたのか…
僕「ごめんなさい…」
女性「いえ、…それよりどうでしたか?」
僕「…はい?」
女性「私どうでしたか?」
僕「何がでしょう…?」
まずい…おかしな人かもしれない…
そう思った瞬間、いきなり手を掴まれた。
!???
僕「何するんですか!?」
驚いて強く手を振りほどいてしまった。
女性「ご縁がありますように。」
こっちを見て女性は笑って左手を見せてきた
女性の薬指には赤い糸がぐるぐるに巻かれ、そのうちの1本が僕の薬指に巻かれていた。
気づいていたんだ、
封筒を拾うべきじゃなかったって、
見つけるべきじゃなかったって、
でも遅かったんだ。
彼女と繋がってしまったんだ、
逃げる事は出来ないんだ。
ああ
縁が結ばれてしまった。
ああ
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