何人もの私

天川裕司

何人もの私

タイトル:何人もの私



イントロ~


80になっても人間、

浮気を忘れない・欲望は残る…

なんて言ったりします。

けれどそれは罪。

男も女もそんな生活を繰り返して居ては

いずれ必ずそのツケがやってくるもの。

もしまだやってきてないなら

そのやってくるまでの準備期間、

とでも思えば良いでしょう。

今回はそんな人に訪れた、ある悲劇のエピソード。



メインシナリオ〜


隆史「お、お前、また浮気したのか」

リコ「はぁ?してないしてない♪何勘違いしてんのw」


私の名前は豊ノ久(とよのく)リコ。

今年で30歳になるOL。

一応、夫は居て、こんなことを言ってるが、

私は浮気をしていた。


(1人で)


リコ「うん、うん、ほんと?うれしい♪」

また会社の同僚とデートの約束。

こんなことを繰り返している。


(カクテルバー「Prisoner of Desire」)


そんなある夜。私は久しぶりに飲みに行った。

いつもの飲み屋街を歩いてると、

新しいカクテルバーが建っている。


リコ「へぇ、なかなかシャレてんじゃない♪」

そこに入り、カウンターについて飲んでいた時…


咲世「ウフフ、お1人ですか?どうかしら?ご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。


彼女の名前は、増場 咲世(ますば さきよ)さん。

都内でライフヒーラーの仕事をしているようで、

どことなく上品で落ち着いていた。

別に断る理由もなかったので一緒に談笑。


でも不思議な感覚の持ち主だった。

なぜか、彼女と一緒に居ると心が正直になる。

そしてなんとなく自分の悩みを

打ち明けてしまうのだ。


私はこの時、

自分の浮気性について彼女に相談していた。


リコ「あはw私ダメなんですよねぇ。夫ってモンがありながら、他にも一緒に遊べる男性が居ないと…なんて、心の正直が求めちゃって」


彼女は1つ1つ真剣に聞いてくれた。

そしてアドバイスをしてくれ、

私のその悩み解決のために

ちょっと動いたりもしてくれたんだ。


リコ「え?イイんですか?」

咲世「ええ、どうぞお飲み下さい♪」

カクテルを一杯ご馳走になった。そして…


咲世「…でもリコさん。そんな生活を繰り返していると、いつか痛い目に遭いますよきっと?」

と私をちょっと脅すような口調で言ってきた。


リコ「え…?」


咲世「あなたのお話を聞けば聞くほど、あなたの旦那さんはあなたのことを愛してらっしゃいます」


咲世「そんな人を裏切り続けて自分の欲望に走り続けていると、きっとあなたは心の中に何人もの自分を作り、分裂したまま、その状態を正当化するまでになるでしょう」


リコ「……は?」


咲世「あなたの幸せを思って言いますが、その浮気癖はなるべく早くやめるべきです。できれば今すぐにでも」


咲世「さっきあなたが飲んだカクテルですが、実は特製のものでして、あなたの心の中の理性や正義を少し膨らませてゆく効果があったんです」


リコ「…は?どうゆうことw」


咲世「あなたには必ずもう1度、今の旦那さんを心から愛する機会が訪れます。それを機に、これまでの浮気の人生から足を洗うんです」


咲世「ここで私に会ったのが、あなたにとって最後のチャンスと思っても構いません。その約束、ぜひ守ってください」


本当に不思議な人…

を通り越してわけのわからない人。

でもその不思議を

さらに上回る不思議が私に訪れていた。


彼女が今言ってる事は本当だ。

私はこれをラストチャンスにし、

今のこの生活を改めなきゃならない…

でないと本当に悲惨な目に遭う…

その言葉が心の中で浮き彫りになるほど、

痛烈にわかった。


だからそのとき私は

彼女の言うことにうなずいたんだ。

その約束をした。


(数日後)


それから数日後。

私は会社帰りの夜道で、

数人の暴漢たちに襲われかけた。


男達「イイじゃねえかwこっちこいよ!」

男達「俺たちと一緒に遊ぼうぜ〜♪w」

リコ「きゃあ!やめてぇ!放してぇ!」


いくら浮気好きと言ってもこんなのはゴメン!

私は本当に恐怖して、できるだけ抵抗し、

その場から逃げるのに必死になっていた。


その時…


隆史「やめろお前ら!!」

偶然その道を通り掛かった隆史が

私を助けるため、その暴漢たちに

突っかかって行ってくれたんだ。


男達「てめえこのやろう!!」

隆史「ぐわっ!クソ!てめえら!」


隆史は一生懸命、私を庇いながら

暴漢たちを追い払ってくれた。


リコ「隆史ぃ!」

私は隆史に抱きついた。

久しぶりに…本当に久しぶりに

ピュアな心に戻った私。

その時、本当に心の底から隆史を愛した。

いや、元からきっとちゃんと愛してたんだ。


それが自分の本能のままに生活するうち、

ぽろっと言った感じに忘れてしまい、

私は隆史をただないがしろにして

自分の思う生活を繰り返していた。

きっとこの人なら全部許してくれるだろう

なんて勝手に思い込んで。


その日から私は隆史との生活に戻ろうとした。

元あるべき生活。

夫婦の生活。

その生活を数週間、数ヶ月、

続けて行くことができたんだ。


(オチ)


でも、この人の誕生日の日。

私は取り返しのつかないトラブルに見舞われた。

いや私だけじゃない、

隆史にとっても同じトラブルになる。


実は私の誕生日と、この人の誕生日は同じ日。

私は隆史の誕生日をお祝いしようと

その日、ケーキ屋さんに来ていた。


その時、私の携帯にメールが入った。

それも4人の男達から。会社の同僚。


「君の誕生日をお祝いしたい」

「2人で一緒にまったり過ごそう」

そんなラブメールを見ているうちに

私の心はまた大きく揺れ動き…


リコ「…会いたいなぁ…会いたくなっちゃった…あと1度だけなら…」


体の奥からうずく欲望に負けてしまい、

私はケーキを買ってから、

ついその男たちに会いに行ってしまった。


(ホテル帰り)


リコ「ふう。すっかり遅くなっちゃった。早く帰らなきゃ」


せっかく守り続けていたその禁欲の生活。

これを私は見事に破り、

また変わる前の自分の生活に戻っていた。


そしてその時と同じようにして

ホテルから自宅への道を歩いていた時…


「こんばんは」

いきなり低い女性の声が背後からした。


リコ「きゃあ!」

思わず悲鳴をあげた。


全く人の気配がしなかったのに…

ここはひと気のない裏通りで

今の今まで誰も居ないのを確認していたのに

かかわらず、いきなり声がしたもんだから

幽霊かと思ってしまった。


リコ「あ…あなたは…」


咲世「あなた、私との約束を破りましたね?私は言った筈です。あなたもそれに同意した筈」


咲世「せっかく元あるべき夫婦の生活に舞い戻り、純粋なあなたに戻れて居たと言うのに。あなたはその幸せを自分で壊した」


リコ「あ…あ…」


咲世「そんなに浮気がしたいなら、その浮気相手と片時も離れないようにしてあげる」


そう言って彼女が右手を私の前に上げ、

パチンと指を鳴らした瞬間、

私の意識は飛んでしまった。


(その後)


オタク1「グフフw俺、彼女の顔が好きだったんだよなぁ」


オタク2「俺は彼女の腕が好きだったんだw」


オタク3「ゲッヘヘw俺は彼女の豊満な胸…」


オタク4「俺は彼女のムチッとした足♪w」


私の体はバラバラになり、

これまで浮気してきた男たちの元へ飛んでいった。


(リコと隆史の自宅を外から見つめ)


咲世「…やっぱり彼、彼女の帰りを待って居るわね。当然か。誕生日の日に、いきなり帰って来なくなったんだものね」


咲世「私は隆史の理想から生まれた生霊。隆史の理想を叶え、しかるべき人に罰を与え、その上で本当の幸せを与えるためだけに現れた」


咲世「リコの体はバラバラになり、それぞれの体の部位は、それを欲しがる男たちの元に今ある。これでその浮気相手と片時も離れない彼女の理想は叶えられたわね。彼女にとっては、体を切り離された苦しみが連続して襲う日々になっちゃうけれど」


咲世「でもこれはいっときの事。彼女が本当に反省し、隆史との愛に目覚めれば、また元の2人の関係に戻してあげる。彼女が裏切るのは初めから分かっていた事。でもほんの少しだけ望みをかけてみたんだけど…やっぱり無理だったわね」


咲世「今は寂しいけれど、隆史はずっと待ち続けるわ。私がそうしておいたから。にしても純粋な愛から少し離れてみたら、リコの男を見る目は本当に無かったようね」


咲世「あんなゲテモノたちを浮気相手に選んだなんて。これも、自分がして来た事へのツケだと思えば良い。その罪を悔い改め、また元の自分と隆史の間に戻って来るまで…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=DuzchzwEqJk

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