箱入り娘

天川裕司

箱入り娘

タイトル:箱入り娘


俺は箱入り娘と付き合った。

さすがに彼女はお嬢様で、

スレておらず、純情をそのまま絵に描いた人。


でも、ちょっと奇妙なことも言ってきた。


真理子「私と付き合えば、もう別れられないからね?」


「え?」


真理子「ずっとこの私と一緒に居ること、俺が絶対条件。それを守れるなら付き合ってあげる」


きっと「浮気はするな」

ってことなんだろうなぁと思い、

そう言う彼女すら可愛く思え、

俺は速攻で付き合ったんだ。


(彼女の自宅)


でもその俺は今、彼女の家から出れないで居る。


真理子「フフ、またここから出ようとしたのね?無理だってw」


「で、でも、だってこんなこと…」


信じられないことだけど、

彼女の家からドアを開けて出ようとしても

バリアのようなものが張られ、

1歩も外に出ることができないのである。


そして俺はその彼女と

たった2人だけの世界に取り残された。

世界と言えば聞こえは良いけど、

この家の中だけ。

それで俺はこれまで見てきた世間とは

一切、遮断されていたのだ。


しかも彼女が現れるのは、

彼女の気が向いた時だけ。

その他は、この薄暗い彼女の家に俺1人。

電気がつくのは

彼女がここに来た時だけみたいだ。


(真理子の部屋)


真理子は自分の机に向かって座っている。

その机の上には箱庭のようなものがあり

その中に彼女の家がある。


真理子「フフ、今日もこの家で大人しくしてるわね、彼。またその気になったら会ったげるから、そこでじっとしてなさい」


そう言ってその日は出て行った。

きっと今日は来てくれないんだろう。


彼女は箱入りの家を持ち、俺の他にも何人か、

その家の中に男を住まわせて居たのかもしれない。

まるでコレクションのようにして。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=A4tAwnE9wKg

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

箱入り娘 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ