仕事の話! リーフレット作成!
崔 梨遙(再)
1話完結:1300字
またまた30代の前半の話。あの頃は、公私ともに充実していました。その日、僕は、当時の僕のお客様の某企業の人事責任者と打ち合わせをしていました。ちなみに人事責任者は40代の女性でした。
僕達はリクルーティング・リーフレットを作成していました。表紙以外は決まっていたのですが、表紙で悩みました。“表紙は、明るいスタッフの笑顔!”と、そこまでは決まっていました。難航したのは、表紙の写真選びです。僕が撮った写真と、責任者の女性が用意してくれた写真があり、写真の数は沢山ありました。ですが、決まらないのです。
いえ、決まってはいたのです。責任者の女性と僕が選んだのは同じ写真、責任者が用意してくれた写真でした。ですが、その写真は見事にピンボケしていたのです。そこで、悩んだわけです。ピンボケした写真を使うのか? どうするのか? それが問題でした。ああ、ピンボケさえしていなければ、迷わずその写真を使えたのに。
ですが、他の写真を選んでも、責任者は納得がいかない様子なのです。責任者は、ピンボケ写真を使いたいのです。背中を押してほしいと思ってるようでした。僕には、そう見えました。だから、僕は背中を押すことにしました。
「どうしましょうかねぇ?」
「やっぱり、この写真が1番イメージにピッタリなんだけどね」
「ですよね。ピンボケしていない写真に、この写真に勝る写真が無いですからね」
「うーん、崔さんの撮った写真も笑顔がいっぱいだけど、やっぱりこの写真の笑顔と比べたら見劣りしますね」
「じゃあ、思い切って、このピンボケ写真を使いますか?」
「え! いいのかな?」
「決めるのは、僕ではありませんが。課長様は、この写真が1番のお気に入りなんでしょう? 他の写真ではご不満でしょう? それでは、仕方ないではありませんか」
「うーん、よし、決めた。これでいきましょう!」
「承知しました!」
ピンボケ写真が表紙のリーフレットが出来上りました。出来上がったリーフレットを見ると、予想以上にピンボケしていることがわかりました。リーフレットにしてみてわかることもあったんですね。僕は驚きましたが、驚いただけではなく焦りました。ですが、もう、そのリーフレットで戦うしかなかったのです!
結局、まあ、少ないですが応募者がいてくれました。ピンボケしていなくても、そのくらいの人数でしょう。毎年、そのくらいの人数ですので。応募ゼロにならなくて良かったです。表紙がピンボケでも応募は来る! 来る? 来るのかな? まあいいです、応募があったのですから。ですが、勿論、僕がピンボケ写真を使ったのは、後にも先にもその時だけです。
長く営業をやっていたら、そういうこともあった。という思い出話。やっぱり、プロとしては、基本的にピンボケ写真は使えない! というか、ピンボケ写真を使った僕はプロじゃない! ピンボケ写真を使ったことは反省材料です。反省、というよりも後悔です。黒歴史かもしれません。仕事をしていれば、反省したり後悔することも多々あります! ありますよね? ありませんか?
仕事の話! リーフレット作成! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます