第二十一話 大船団

―海戦の激闘、海賊対水軍―


 帝を救出した一行は、急ぎ隠岐島からの脱出を試みたが、

 だが、その頃、幕府も後醍醐天皇救出の動きを察知していた。

 幕府水軍の大船団が海上に現れ、後ろから迫りつつあった。


「時親様、幕府の船影が確認されました。明らかに、敵水軍の戦力は、我々を超えているように見られます。すぐに対策を取らなければなりません」


 計画通り後醍醐天皇を乗せた船とそれを護衛する小船団は、入り江に向けて、舵を切り返し、全力で航行をはじめた。

 そして、名和の大船団は、既に入り江で待機をし、戦闘に向けて準備をしていた。


 そして予想通り、幕府水軍は、何とか後醍醐天皇を取り返そうと帝が乗り込む船を猛烈に追跡しはじめ、何の疑いもなく入り江まで、入り込んできた。


 名和長年は目を細め、冷静な声で指示を出した。

「ここからが正念場だ。幕府の水軍を全滅させ、帝を安全にお連れするために、我々は全力で挑む」

「全船に戦闘準備を命じよ」


 名和一族の大船団は、海の闇から一斉に姿を現し、入り江の入り口を封鎖した後、幕府水軍を囲い込んだかと思うと、幕府の水軍に向かって突撃を開始した。

 海賊の技術と策略が、今まさに日本の歴史を動かす瞬間を迎えようとしていた。


 名和長年の大船団は、一族が代々受け継いできた海賊の戦術を駆使し、幕府の船団に次々と打撃を与えていた。

 海上に響く火薬の音に、飛び交う弓矢の嵐、次第に戦況は、名和側に有利に進んでいった。


「よし、このまま突き進め! 幕府の船を次々と打ち破るのだ!」

 名和長年の号令のもと、名和の船団は敵船を次々と撃破し、幕府側はみるみるうちに劣勢となっていった。

 しかしその瞬間、海の彼方から巨大な船団の影が現れた。幕府方についた九鬼水軍だった。

「名和殿、あれは……。志摩国、九鬼水軍か」

 と、時親は呟いた。


 九鬼水軍は、古くから志摩国の海を支配してきた強大な勢力で、その統制と戦術は名和の船団を凌駕していた。

 たちまち、入り江を封鎖していた名和の船団と九鬼水軍の間で戦いがはじまった。


 戦況は、名和船団が一気に不利となった。


「ふむ・・九鬼水軍か。本番は、これからだ」

 名和は静かに微笑み、策を講じる準備をしていた。


 彼は事前に潮の流れと風向きを調べ、ある作戦を立てていた。

 名和は自軍の大量の無人の小型船に火を放ち、九鬼水軍全体を指揮する大型の旗船に向けて流した。

 九鬼水軍の旗船は、燃え上がる無数の小型船に阻まれ、方向転換をせざるを得ない状況となり、敵水軍の指揮系統が少しづつ乱れ始めた。


「九鬼水軍は強大だが、統制を崩せば勝機はある。あやめ殿、君の力が必要だ」

「あやめ殿、君には敵総大将が乗る船に忍び込み、さらに九鬼水軍の指揮系統を乱してほしい。彼らの強さが半減したところに、我々が総攻撃を仕掛ける」

 名和長年は、あやめに要請をした。



―敵旗艦への潜入―



「毛利様、名和殿、お任せください。私は敵の旗艦に潜入し、必ずや敵将を倒し混乱を引き起こします」

 そう言い放ったあやめは、決意を胸に刻み、弓を手に取り、軽やかに小舟に乗り込んだ。


 続いて、毛利時親も、あやめが乗り込んだ小舟に乗り込み、口を開いた。

「今回は、私も行かせていただく、この天皇の救出計画は、命に代えてでも成功させねばならない。正成殿との約束だ」

 時親の目には、決死の決意が現れていた。


 二人が乗り込んだ船は、闇に紛れ、敵の目を欺きながら、九鬼水軍の旗艦に向けて静かに進んでいく。

 遠くには名和の大船団が激しい戦いを繰り広げ、幕府水軍を追い込んでいた。

 松明の火が水面に反射し、剣と矢が交錯する音が聞こえる。


 あやめと時親が乗り込くだ小舟にも、時折、敵の船が向かってくる。

 あやめと時親は、弓矢を手に取り、向かってくる敵船にむけて、矢を放つ。

 一人一人と倒れ、敵の旗艦に近づいていく。


 そしてまず、あやめが鉤縄かぎなわを使い、静かに敵水軍の旗艦へと忍び込みんだ。

 その後、時親は、あやめとは別の方向から、船内に向かった。


 艦内は戦いの緊張感に包まれ、士気は高まっていたが、彼女の姿を誰も察知することはなかった。

 敵将の居場所を探しつつ、あやめは敵兵に気づかれぬよう近づき、瞬時に敵兵を剣で攻撃する。

 剣術の達人である彼女の動きは速く、音を立てることなく敵を一人、また一人と倒していく。


 船内に潜む影の如き彼女の姿は、まるで悪夢のようだった。

 次々と倒れていく兵士たちにより、船内は徐々にざわめき始めた。


 そして時親も、あやめとは真逆の方向から潜入し、敵将の居場所を探しはじめる。 

 異変に気づいた敵兵が襲い掛かるが、時親は一人一人と兵士に剣を浴びせていく。 

 敵将は、異変に気づくも、何が起きているのか理解できないまま、焦燥感に包まれていた。


 あやめ、時親の狙いは、その心の隙をつくことだった。

 ついに、あやめは、敵将の姿を見つけた。


 巨大な旗艦の指揮台に立つその男は、周囲の混乱にも動じることなく、冷静に船団を指揮していた。

 海風が彼の戦旗をはためかせ、その威圧感は他の兵士たちとは異なっていた。

 しかし、その静かな威厳に満ちた眼前に、突然、一人の女性が現れた。


「誰だ……!」

 敵将は驚愕しながらも叫んだ。

 彼の眼に映ったのは、鋭い眼光を放つあやめの姿だった。


 彼女は一言も発せず、黙々と剣を抜き放ち、冷静な表情のまま敵将に向かって突進する。

 剣が彼女の手に握られた瞬間、まるで空気が変わったかのようだった。

 閃光のごとく鋭い動きで、あやめは一気に間合いを詰める。


 しかし、その一瞬の隙を狙っていたかのように、身を潜めていた敵兵士が、背後から忍び寄った。

 あやめは敵の気配を背中に感じていたが、顔色一つ変えない。

 瞬時に胸元から短刀を取り出し、音もなくそれを後ろに放つ。

 鋭く放たれた短刀は正確に敵を討つ。


 その間に、あやめはすでに敵将に迫っていた。

 敵将は剣を抜き一瞬の反撃を試みる。

 しかし、あやめの剣技はそれを遥かに凌駕していた。


 彼女の剣は一度閃き、敵将の防御を易々と崩す。

 そして次の瞬間、将は倒れた。


 敵将が崩れ落ちる様子を見た兵士たちは、あまりにも速すぎる一連の出来事に恐怖と混乱に陥った。

 今まで指揮を執っていた将が倒れた事実は、戦場の士気を一気に崩壊させた。


 彼らの目に映るのは、ただ一人、剣を握り締めるあやめの姿だった。

 将が倒れるのを目の当たりにした兵士たちは、混乱に陥った。

 彼女の周りには、もう誰も近づこうとする者はいなかった。


 戦局は彼女一人によって変えられた。


 あやめは、懐から、数個の手榴型の火薬を取りだし、点火した。

 火花が光り、爆発音が、海上に鳴り響いた。

 敵指揮官を倒した合図である。


「今だ!全船、突撃せよ!」

 名和長年の声が遠くから響き渡った。

 

 あやめ、時親の働きにより、九鬼水軍の統制は崩壊し、船内は混乱の渦に巻き込まれた。

 指示が途切れ、士気を失った敵船団に対して、名和の船団は総攻撃を仕掛けた。

 次々と撃ち込まれる矢と火矢が、敵の船を炎に包み、海は激しい戦の修羅場と化していた。


 彼女の使命は果たされた。


 船内から離れ、再び小舟に戻ると、名和の大船団が敵船を沈め、九鬼水軍が後退する光景が目に映った。

 時親も、名和の船団が停泊する入り江に向けて、迎えにきた別の小舟に乗り込み、波間へと消えていった。


 夜の静けさが戻り、戦いの嵐が遠ざかる中、あやめは一人、海を見つめた。

 彼女の剣が切り拓いた勝利の瞬間が、波間に消えていく。


 戦いが終わり、あやめは無事に名和の旗艦に戻ってきた。

「あやめ殿、無事で何よりだ。君のおかげで戦いに勝利することができた」

 と、時親は喜びを隠せなかった。

「毛利様、影の者として、任務を遂行するのみです」

 後醍醐天皇の救出作戦は無事、成功を遂げた。


 元弘三年二月(1333年)、天皇は、伯耆の国、船上山に移り、行宮(仮の御所)を設置。

 ここから次々に、全国の有力武将、有力豪族へ討幕の綸旨が発せられた。

 天皇の綸旨により、鎌倉幕府の勢力は、さらに削がれていくこととなった。



―帰還と再興への誓い―



 天皇の帰還により、名和長年と彼の一族の名声は高まり、彼らは天皇の忠臣として日本史にその名を刻むこととなった。


「時親殿、共に天皇をお守りし、この国の未来を築いていこうではないか」

 と、長年はその手を差し出した。


「ありがとうございました。名和殿。私たちがこの国を正しい道へと導くことができるのは、天皇のご存在あってこそです」

 と、時親はその手を固く握り返した。


 その後、時親は天皇に拝謁する機会を賜った。


 時親は帝に対して、播磨の赤松円心が味方に付く可能性があることを説き、そのために赤松円心への綸旨が必要であると訴えた。


 帝は時親の訴えを真摯に受け止め、綸旨を出すことを決断した。

「そなたの忠誠と働きに感謝する。円心を味方につけることができれば、我が朝廷にとって大いなる力となるだろう。早速、綸旨を準備させる」


  *


 無事に綸旨が出された後、時親は一刻も無駄にせず、それを持ち急いで播磨の赤松円心のもとへ向かった。

 道中、あやめと共に進む時親の心には、天皇から託されたこの大事な使命を全うする強い決意があった。

 あやめの護衛により、再び危険な山道や幕府の監視をうまくかわし、二人は速やかに播磨へと到達した。



 円心の居城に到着した時親は、速やかに円心との面会を求めた。

 綸旨を持参していることが伝わると、円心はすぐ面会を許可し、時親が控える別室にと向かおうとしていた。

 

 がその時、突然、嫡男の赤松範資あかまつのりすけが姿を現し、円心に進言した。

「綸旨を受け取れば、朝廷に背を向けることはできなくなります。幕府の力は、まだまだ強大です。慎重を期するのも選択肢かと存じますが……」


 しかし円心は、既に覚悟を決めていた。

「今この国難の時、危険に身を投じてこそ得られるものもあるのだ。今は、播磨の民、日本の民衆ため、覚悟を決める時だ」

「間もなく日本は大きく動き出す。心眼をもってすればそれがよく見える。おぬしも、これからというものをもっと鍛えるが良い」

 この言葉を嫡男、範資に言い放った後、円心は、時親のもとへ向った。


 円心と再会を果たした時親は、まず円心に対し後醍醐天皇が無事に救出され、綸旨が出されたことを伝え、慎重に説得を始めた。

「今回、朝廷に協力することで、貴殿の名声は高まり、将来の恩賞も確約されることでしょう。後醍醐天皇は忠誠を尽くす者には必ず報いるお方です」


 円心は、間髪を入れず決断を下し、時親に伝えた。

「今この時こそ日本の運命を大きく変える機会だ。時親殿、ともに力を合わせ戦いましょう。挙兵するにあたっては、毛利時親殿、ぜひ、あなたを軍師として迎えたい。いかがでしょうか」


 時親はこの申し出に対し、一瞬驚いたものの、円心が敵か味方かで、今後の情勢は、この円心の判断で大きく変わるというかもしれないという現実を見極め、役目を引き受ける決意を固めた。

「円心殿のお力添えがあれば、朝廷にとってこれ以上の助力はありません。軍師としてお役に立てるのであれば、喜んでお引き受けいたします」

 

 こうして、時親は円心の軍師として播磨の国に留まることになった。

 そして時親は間をおかず、六波羅攻略を見据えた天王山への出陣を円心に勧めた。


 朝廷方につくことを決意した円心は、すぐに挙兵の準備を始め、時親と共に戦略を練り始めた。

 あやめは任務を果たし、再び河内へと戻ることとなった。

 時親と別れる際、あやめは静かに一礼し、再会を誓った。


「あやめ、お前のおかげで無事にここまでたどり着くことができた。感謝している。河内での任務も引き続きよろしく頼む」

「毛利様、どうかお体に気をつけて。この任務が成功することを祈っております」


 あやめはその言葉を残し、音もなく姿を消した。



―赤松円心の出陣―



 播磨の国の守護である赤松円心は、かねてから幕府の圧政に不満を抱いていたが、後醍醐天皇の綸旨を受け、決断の時が来たことを悟った。

「時は来た。出陣だ」


 播磨の山々は、千早城と同じく険しい地形で幕府軍の大軍が押し寄せるには適していなかった。

 円心は、山岳地帯を活かしたゲリラ戦を考え、少数の精鋭を率いて反幕府の戦いを開始した。

 円心の軍は、正成の戦術に倣い、奇襲や待ち伏せを駆使して幕府軍に打撃を与えていった。

 正成と同じく、円心も幕府の弱点を突き、数で勝る敵を圧倒した。

「この地は、我らの盾となる。山の利を活かし、幕府の軍勢に思う存分打撃を与えるのだ」

 円心の言葉に、兵士たちは気勢を上げた。

 彼らもまた幕府の圧政に苦しんでいた農民や商人たちからの支持を得ており、その力を背景に京の都にむけて戦いを進め、ついに天王山まで進出した。



―隠岐島救出作戦、あやめの報告―



 冷たい風が千早城に叩きつけ、その音が城内にこだましている。

 楠木正成は、静かに千早城の仮の一室で篝火の揺らぐ炎を見つめていた。


 城を取り巻く幕府軍は膨大で、正成の心は重圧に押しつぶされそうになりながらも、決して折れぬ意志を宿していた。


 その時、廊下から軽やかな足音が響き、襖が静かに開け放たれた。

 冷え込む風と共に現れたのは、あやめであった。


 彼女の顔には疲労の色が見えたが、その眼差しはどこか誇らしげだった。


「あやめ、戻ったか」

 正成は篝火越しに冷静な声で問いかけたが、期待の色が声に滲んでいた。


「只今、伯耆の国並びに、隠岐での出来事を報告いたします」

「後醍醐天皇は、無事に隠岐島より救出されました」


 あやめは、静かながらもはっきりと告げた。

 その言葉に、長い間、彼の胸を支配していた不安が溶けていくようだった。


「帝が……無事であったか。詳しく教えてくれ」

 正成の声には、いつも以上の緊張が混じっていた。


 あやめは頷き、隠岐島での緊迫した救出作戦について語り始めた。

「幕府の監視は厳重を極めていましたが、名和船団が夜陰に紛れて帝を安全に護送しました。その途上、幕府水軍の追撃を受けましたが、入り江に誘い込み、激戦の末、勝利を収めることができました」

「戦いの後半は、九鬼水軍も現れ、さらに戦いは、激しさを増しましたが、私と時親殿が協力して九鬼水軍の旗艦に潜入しました。水軍を率いる敵将を討ち、指揮を崩壊させることで勝利を勝利をつかみました」


 彼女の声が緊張を孕みながらも達成感を滲ませているのを聞き、正成は静かに立ち上がった。

 そして一歩進み出て、あやめの肩に手を置いた。


「よくやってくれた、あやめ。これで戦の流れは完全に変わった」

 正成の声は低く、しかしその言葉には温かさが宿っていた。


「あやめの働きがなければ、今頃、我々の希望もまた失われていただろう。この危険な任務に身を投じてくれたこと、そしてその心意気に、私は心から感謝している」

 

 あやめは一瞬目を伏せたが、再び顔を上げるとその瞳には涙が光っていた。

「正成様、そのお言葉だけで十分でございます」


 時親が後ろで頷き、重い沈黙が部屋を満たしたが、それは安堵と新たな決意が入り混じったものであった。


「あやめ、これから護良親王に、帝救出の知らせを伝え、倒幕への力を一つにまとめねばならぬ」

 あやめが口を開こうとしたが、正成は静かに首を振った。


「いや、今回は別の者を遣わせる。汝には別の任務がある」

 そして側近を呼び、護良親王に送る書簡を手渡した。

「護良親王は、吉野にいるときいている」

「これが天皇救出の報せだ。親王に急ぎ届けてくれ」

 側近は力強く頷き、その場を後にした。



―護良親王への報せ―



 雪深い山道を越え、数日後に使者は吉野の金峯山寺きんぷせんじに到着した。

 護良親王の陣営は物資も兵力も不足していたが、それでも親王の眼差しには決意が宿っていた。


 使者は正成からの書簡を手渡し、その内容を親王に告げた。

「帝がご無事で……」

 護良親王の口元がわずかに緩む。


 だが、それは短い安堵に過ぎなかった。

 すぐに親王は、正成からの提案に目を向け、その計略の巧妙さに舌を巻いた。

「敵の補給路を絶ち、幕府を追い詰めるべし」

 との具体的な指示は、親王に新たな希望を与えた。


 護良親王はその場で返書を用意し、正成への感謝と共に戦う意志を力強く綴った。 

 そして、正成の提案に従い、補給路を断つ奇襲を決行することを決めた。


 数日後、護良親王の軍勢は動き出した。

 夜の闇に紛れ、兵たちは山岳地帯を巧みに移動し、幕府軍の補給線を狙った。

 正成の指示通り、物資を奪い、補給隊を襲撃する奇襲作戦は見事に成功した。

 幕府軍は混乱に陥り、その動きが鈍り始めた。


「今こそ好機だ。幕府軍の士気を削ぎ、我らが逆転する」

「我が攻撃に続け。幕府軍を一掃する」


 親王の叫びと共に、彼の槍が火花を散らす。

 護良親王は、日頃から鍛え上げた槍の技量を存分に発揮し、敵兵を次々と斬り伏せていった。

 彼の槍捌きは、華麗でありながら無駄がなく、敵の鎧をも一瞬で打ち砕く強靭さを持っていた。


「退け。護良親王の勢いを止められぬ」


 親王軍の圧倒的な攻撃力と士気の高さに幕府軍は完全に士気を失い、我先にと山道を駆け下りていった。


 その後、護良親王は、正成と進言もあり、天王山に向かった。

 六波羅探題への攻撃を準備している赤松円心と合流するためである。

 間もなく、赤松円心の軍と合流した護良親王は、軍師を引き受けた毛利時親と面談した。


 時親は、親王に献策をした。

 「幕府の力を崩すには、まずは六波羅を攻め、千早城に向けられている幕府軍の兵力を分散することが肝要です」


 親王は頷き、六波羅攻撃への準備を整える決意を固めた。

「幕府の力は確かに大きいが、力が分散すれば、勝機は我らにある。正成殿を助け、共に戦えば、必ずや幕府を打ち倒せる」


 護良親王は、兵たちに力強く語りかけた。彼の言葉に兵たちの士気はさらに高まり、六波羅攻撃へと突き進む意志を固めた。

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