診察編

 さて、ここからは、診察とはどんなことをするのか? をメインに当時の心境など書いていこうと思います。あくまで私の場合はですが、何かの参考になればこれ幸いというものです。


 先にも書いた通り、カルマン症候群の症状として「二次性徴が来ないこと」と「嗅覚異常」が挙げられます。

 高校生の私は、婦人科の先生に指摘されるまで、この2つが繋がっているだなんて考えもしませんでした。受診後、早々に紹介状を書いてもらい、大きな病院へと移ったことを覚えています。


 しかし、ここで問題が発生しました。大病院、効率が悪すぎる。


 大病院では、本当に嗅覚異常があるのか、それが婦人科の病気に関係しているのか、を調べるところから始まりました。

 当然のことながら、嗅覚のことは耳鼻科へ行く必要があります。耳鼻科、婦人科、両方の予約を取り、さらに内科の予約まで必要となり・・・・・・


「そんなに休むとか無理なですけど」


 はい。高校生の私、ここでぶち切れました。

 大病院の診察日は平日のみ。しかも次の予約は早くて半月~1か月後。就職も決まり、学校も、入社後もこんなに(※1~2か月に1回程度です)休まないといけないのか。これがいつまで続くのか。そう思った当時の私は行くことを止めてしまいます。


 結局、この時できた診察は、二次性徴が来ていないことの確認と、嗅覚が正常に働いていないことの確認だけでした。

 二次性徴については、子宮エコーや胸囲など、主に視診と問診です。当時の私にとって、婦人科のあの椅子は恥ずかしい以外のナニモノでもありませんでした。もう少しどうにかならないのか、と今でも思います。


 嗅覚異常の方は、様々な香り成分が入った小さな容器を1つずつ開き、匂いを感じるか確かめていきます。10~20個ほど試したと思います。単純で痛みもありません。それでも


「なにか感じますか?」

「分かりません」


を繰り返すこの検査は、私にとってかなり苦痛でした。

 そもそも「匂う」「香り」という感覚が分からない私にとっては、ひたすら同じ見た目の容器を顔に近づけられるだけの作業です。どの容器も、ただ同じ空気を吸っているだけ。1つ分からないごとに、自分が出来損ないであると突きつけられるようで、とても不快だったのを覚えています。



  ◇◇◇



 一度頓挫した診察ですが、社会人数年目の健康診断で再開することになります。健康診断を行った病院で紹介状を書いてもらい、大病院へと移りました。

 前回の記録が残っていた為、嗅覚系の検査を行うことは無く、婦人科での検査のみとなりました


 カルマン症候群は、正式名称を「下垂体前葉機能低下症(ゴナドトロピン分泌低下症)」といい、脳の病気です。脳の下垂体から出るはずの「女性(男性)ホルモンを出してね~」という信号が上手く出せていない状態です。


 検査では、を確認します。

 というのも、信号は出ているけれど受信側に問題がある場合や、女性・男性ホルモン以外も出ていないなど、様々な可能性があるそうです。病名を確定させるための検査ということですね。


 では具体的に、どんな検査をするのか。

 まずは受信側、ホルモンを出す係とでもいうのでしょうか。そちらに問題がないかを確認します。これは子宮エコーで行いました。私の場合は問題が無かったので、病名特定へ一歩近づいたことになります。


 次に、送信側の検査を行います。下垂体を刺激する薬を投与し、ホルモン値が上昇するかを確認するんです。その検査のために、内科の受診が必要だったというわけです。(脳の検査なので婦人科ではできません)


 検査は日帰りか入院の2つの方法があると説明されました。日帰りでは、血液検査のみ。所要時間は半日ほどです。入院の場合は、血液検査に加えて尿検査を行います。所要日数は4~5日。

 検査入院を行った方が、長期的に薬を投与できる為、ちょっと詳しく分かる、という事らしいです。ただ、どちらの場合も特定疾患の診断は出る為、どっちでもいいですよ、ということでした。


 私は仕事もあった為、日帰りを選びました。

 ここからは、日帰りの場合の検査方法となります。


 まず、検査が可能かの検査を行う必要がありました。検査の為の検査ってなんやねんって感じですが、理由を聞くと結構納得できます。

 検査とはいえ、脳の一部を刺激するわけです。そもそも刺激しても大丈夫か、現在の下垂体自体に腫れなどの症状が無いか、を先に診断してしまうんですね。確かにいきなり薬を投与して、脳から出血しました! なんて洒落になりません。


 MRIを撮って、下垂体が腫れていないかを確認します。

 人生初のMRIだったので、普通にわくわくしました。結構煩いですねあれ。あと機械に入って結構時間が経ってから「今から撮影します」と言われたときの驚きと言ったら・・・・・・。さっきまで轟音で動いていたのは何だったんでしょう。


 MRIでの撮影の結果、無事に本番の検査を行えることになりました。


 いよいよ迎えた検査当日。前日に言われた通り、朝食無しで挑みます。検査は9時ごろに始まりお昼までかかるので、地味に長期戦です。お腹空いた~。

 薬を投与し、30分毎に約5ccの採血を4回行います。検査だけで約2時間かかる計算ですね。その間はずっと、本当にずっとベッドで横になっているだけです。ベッドから起き上がるとき、ふらつくくらい動きの無い検査でした。


 検査結果は次の受診時に聞くことができました。

 成長ホルモンなど、他のホルモン値は異常がありませんでした。女性ホルモンの信号のみ出ていないということで、無事にカルマン症候群であると診断がおりました。

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