僕は女子とパンパンしたい

@JULIA_JULIA

僕は今日もパンパンする

 放課後の教室は静寂に包まれていた。時折、少し離れたグラウンドから運動部の生徒による声が届いてくるものの、それは教室内の静けさを強調するかのように働いている。


 高校二年生になった僕は現在、女子と二人きり。肩に掛かる明るい茶髪とエキゾチックな顔立ちによって大人っぽく見える女子と、静かな教室内で二人きり。彼女の名前は、元山もとやま 夢花ゆめか。僕のクラスメイトだ。


「ねぇ、今日もするの?」


 些か呆れ気味な元山。連日にわたる僕からの責め苦に、どうやら参っているらしい。


「勿論するよ。ゴムもたくさん持ってきたから」


 そう言って、元山の傍へと寄る。すると彼女は恥ずかしそうにブレザーを脱いだ。それを誰のモノかも分からない机の上に置き、不安げな眼差しを僕に向ける。


「・・・あんまり激しくしないでよ?」


「どうして? 激しい方が、僕はイイんだけど」


「だって、あんまり激しいと・・・、壊れちゃう」


 頬を赤らめて、目を逸らした元山。そんな彼女の様子に、僕はゾクゾクとしていた。加虐心とでも言おうか。そういうモノを僕は持ち合わせているらしい。顔をはすに向けている元山。そんな彼女の耳元で、僕は囁く。


「でもさ、結局はキミの方が激しく動いてるじゃないか。いつもいつも」


「ヤダ、やめてよ。そんなこと、言わないで・・・」


 元山の頬は、更に赤くなった。僕はズボンの後ろポケットから、包装されているゴムを取り出し、封を開ける。そしてその中からゴムを解放し、少し形を整えてから、彼女に見せる。


「こんなの、用意してみたんだ」


「なに、その形!?」


 普通のモノとは異なる形状をしているゴムを見て、元山の顔は僅かに引きつっている。


「そんなの、どこで買ったの!?」


「ネット通販だよ。偶然見つけて、欲しくなったんだ」


「今日は・・・、そ、それを使うの?」


「勿論。でも普通のゴムもあるから、違いを確かめてみようよ」


「ど、どっちだって同じでしょ!」


 声を荒げた元山。そんなことを言いつつも、彼女はなんだか怯えている。新しく用意されたゴムを見て、どんな違いがあるのかと想像しているのだろう。その違いに自分の身が耐えられるのかと怯えているのだろう。


「じゃあ、ほら。いつも通りに───。ね?」


 僕が促すと、元山は渋々ながらもゴムを咥える。程なくすると、彼女は頬どころか、顔全体を真っ赤にした。そんな元山の姿に、僕はまたしてもゾクゾクとする。真っ赤な顔をして、ゴムを咥えている元山。その目は、なんだかトロンとしている。






 やがて中身が詰まったことにより、はち切れんばかりに膨らんだゴムを見て、元山が呟く。


「スゴい・・・。相変わらず、大きい・・・」


「大きい方が、気持ちイイんだよね?」


「そ、そんなことない!」


 強く否定した元山だが、その顔はやはり真っ赤で、このあとに起きることを想像してか、体を小刻みに震わせている。そんな姿を見せられて、僕の加虐心は燃え上がる。


「どんな気分? 今からパンパンされるけど」


「どんなって・・・、少し、怖い・・・」


「新しいゴムで、パンパンされるから?」


「・・・う、うん」


 恥ずかしさと怖さが同居するような表情で、正直に告げてきた元山。そのご褒美というワケではないが、僕は大きく膨らんでいるゴムを彼女の体に押し当てる。


「どう? どんな感じ?」


「ま、まだ分かんない・・・」


「そっか。じゃあ、ぶっ刺してみようか?」


「・・・するなら、早くすれば?」


 少し不機嫌な様子の元山。本当は早くして欲しいクセに、どうして素直になれないのだろうか。


「あれ? あんまり嬉しくなさそうだね?」


「そりゃあ、嬉しくないわよ」


「なんで? 今日もいっぱいパンパンするのに」


「それはアンタがしたいだけでしょ。アタシは別に・・・」


「そんなこと言って。いつも最後には、気持ちよくなってるクセに」


「・・・それは、あんなに攻められたら・・・」


「でしょ? いっぱいパンパンされて、気持ちよくなっちゃうんだよね?」


「もう! イイから早くしてよ。誰か来ちゃうかもしれないでしょ」


「僕は別に構わないよ。なんなら、キミの恥ずかしい姿を見てもらおうよ」


「イヤ! そんなのイヤよ! あんな姿・・・、見られたくない・・・」


 眉を八の字にして、憂いを宿した表情を浮かべた元山。それにより、僕の加虐心は更にたかぶる。


「いやいや、たまにはイイじゃないか。キミが我を忘れて激しく動いてるところを、見てもらおうよ」


「ヤダ、やめて! そんなの、絶対ダメ! ねぇ、お願い! 早くして!」


 そう懇願する元山の耳元で、僕はまたしても囁く。


「だったら、いつもみたいに・・・。ちゃんと、お願いしないと」


「・・・ア、アタシに・・・、いっぱい、パンパンして下さい・・・」


「分かったよ。じゃあ、ぶっ刺すね」


 その直後、僕は大きくなっているゴムを元山の体にグイグイと押し付け、一気にぶっ刺す。


 パンッ!!


「ひゃっ!」


 ゴム風船に画鋲がびょうを刺した瞬間、静かな教室内に、けたたましい音が轟いた。それにより元山は、なんとも可愛らしい悲鳴を上げた。僕の手元には、破裂したゴム風船の残骸。それをポイッと投げ捨てると、既に元山が膨らませて机の上に並べておいた多くのゴム風船の中から、一つを手に取る。


 そのかん、元山はというと、僕の傍から逃げ出していた。よって僕は追い掛ける、左右の手に画鋲がびょうとゴム風船を持って。


 教室内をグルグルと駆け回り、逃げる元山。そんな彼女のあとを追い掛ける僕。次第に僕たちの距離は縮まっていく。そしてまた、元山の体にゴム風船を押し当てて・・・。


 パンッ!!


「きゃあっ!!」


 またしても可愛らしい悲鳴を上げた元山。そうして僕たちは暫くのあいだ、遊んでいた。








 やがて二十個ものゴム風船を破裂させた僕は、元山に訊く。


「ハァ、ハァ・・・。どうだった? 今日も気持ちよかった?」


「ハァ、ハァ、ハァ・・・。うん・・・。これ、気持ちイイ・・・。ハァ、ハァ・・・」


「僕も気持ちよかったよ・・・。ハァ、ハァ・・・」


 教室内を激しく走り回っていた僕たちは、息も絶え絶えの状態。そんな中、僕は元山に言う。


「また、しようね?」


「し、仕方ないわね・・・」


 こうして今日もまた、陽が暮れていく。そんな中、元山が声を発する。


「あ! スカートのホック、壊れちゃってる・・・」



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