第19話同期襲来2

「キッチンで触らないで欲しいものとかある?」

「全然ないですよ。好きなの使ってください」


恥ずかしさも落ち着き、私はキッチンの近くの椅子に座って料理の風景を見ていた。誰かが料理をしてくれるなんて一人暮らしを始めてからなかったから新鮮だ。

きらりちゃんは鼻歌を歌いながら手際よく食材を調理している。


「きらりちゃんは料理よくするんですか?」

「弟と妹がいるから結構するね〜。パパとママが共働きだから家にいないことが多くって自然と私が料理するようになってた〜って感じ?」

「弟さんと妹さんがいるんですね!いま何歳くらいですか?」

「最近高校生になったよ!双子なんだけどさ〜、お互い好きなものと嫌いなものが逆だから大変だし、弟は元気だけどよくバカやって怪我してくるし、妹はお姉ちゃん大好きっ子で可愛いんだけどたまに怖さを感じるんだよね〜……。それでも最高に可愛い弟と妹だね!!」


笑顔で双子のことを語るきらりちゃん。本当に家族のことが大好きなのが伝わってきて私もなんだか胸が温かくなってきた。こんなに家族思いで料理もできるきらりちゃんは本当にすごい。


「きらりちゃんは将来いいお嫁さんになりそうですね」

「え、あやちゃん……?それってどーゆー意味……?」

「普通にそのままの意味ですけど……」

「そ、そのままの意味!?いやあやちゃんのことだから褒め言葉として言った可能性が高いけど逆に……」

「?」

「あ、なんでもないよ!?気にしないで!!」


私が不思議そうな顔で見ていると、きらりちゃんが赤くなった顔でそう言ってきた。ただ素直にそう思ったから言ったんだけど、本当は別の意味で使われる言葉なのかな?まぁ本人が気にしないでって言ってるし気にしなくていっか!!

きらりちゃんの料理が終わり、私の目の前のテーブルにお店で出てきそうなオムライスが運ばれてきた。綺麗すぎてすごい。


「聞かないで作っちゃったけどオムライス苦手じゃない?」

「好きなのでよく食べますよ。自分では上手く作れないので大体お弁当で買ったりですけどね」

「今度作り方教えてあげるよ!よし、それじゃ冷めないうちに」

「「いただきます!」」


スプーンですくって口の中に運ぶと、ちょうどいい塩味でふわっふわな卵と、ちょうどいい塩味のケチャップライスが最高にマッチし、食べてるだけで思わず笑顔になるほど美味しい。凄すぎてお店出せるレベルだと思う。


「あやちゃんどうかな?」

「すごい美味しいです!!味付けも上手だし見た目も良いとかすごすぎです!」

「妹たちによく作ってあげてるからね〜!あの子達が2人揃って好きって言ってくれる料理の一つだからね!」

「ふふっ、本当にいいお姉ちゃんですね」

「お?あやちゃんも私の妹になっちゃう??今妹になると毎日おはようのキスとおやすみのキスがついてくるよ?」

「遠慮しておきます」

「あれ?」


私たちは雑談して笑い合いながら私済ませた。

その後、きらりちゃんが「他にも私が家事やるよ!!」って張り切っていたので、洗濯をしてもらうことにした。……色々やってもらいすぎな気がしてきたから何かしらお返ししよう。そう考えながら私も部屋で痛くならない範囲で片付けをしていた時だった。


「ねーあやちゃん」


扉の横から顔を覗かせながらきらりちゃんが呼んできた。


「どうしましたか?」

「今あやちゃんってどれくらい服持ってる?」

「えっと、そこのクローゼットにある分ですね」

「ちょっと失礼するね」


そう言いながらクローゼットを開けるきらりちゃん。そうしてこっちを振り向いて言った。


「洗濯物見た時にも思ったけどあまりにも少なすぎない?」

「服選ぶの苦手で……。それに前会社に勤めてた時は服買ったりするほどの余裕がなかったのでそれもありますね」

「素材がいいのにもったいない……。そうだ!明日外出れるくらい楽になってたら一緒に服買いに行かない?」

「え?」

「服選ぶの私得意だしさ!それにあの下着だけじゃよくないしね〜?」

「なっ……!!きらりちゃんの変態!!やっぱり洗濯物は私がやります!!」

「もう終わっちゃったよ〜。とりあえず明日色々見に行こっか!」

「ん……まぁ下着を見たことは許しませんけど服を選んでもらえるのはとてもありがたいので行きます」

「よし、じゃあ今日はあやちゃんの筋肉痛が楽になるようなことたくさんしなきゃだね!」

「ん?えぇそうですね……?」


なんか上手く宥められた気がする……。それにしても筋肉痛が楽になるようなことってどんなことなんだろう。ちょっとだけ不安になってきた……。

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