クリスマスの冒険
マイペース七瀬
第1話
2024年12月になっている。
ここは、東京、新宿。
40代後半になっている会社員のヨシヒコは、昨日、会社でミスをした。こんな日にクリスマスなんて、嫌だなぁと思っていた。
そして、今日は、何となく仕事をしたくない気持ちでいっぱいいっぱいだった。
ヨシヒコは、大学で、理科系のクラスにいて、動物の実験をしていた。そして、一時期は、地方で研究職についていたが、今は、新宿で、本社の事務の仕事をしていた。
ただ、と思った。
いつも真面目に、仕事をしているが、このまま、年を取って、人生が終わるのかとも思った。
そして、もうすぐ24日。
クリスマスになっている。
また、今年も恋人、彼女なしでクリスマスを過ごすのかとも思った。20代、30代の時は、少しは、彼女がいたが、もう何年とご無沙汰だとも思った。
今度、24日は、一人で、大阪辺りまで行こうか。
だが、それも、寂しい。
だったら、とも思った。
あそこに、30代前半のマオが、パソコンの前で、今、一人でコーヒーを飲んでいる。
そして、ヨシヒコは、つい思った。
「郡村マオを、大阪行きに誘おう」
と思った。
そして、ヨシヒコは、郡村マオの前に行って、開口一番こう言った。
「郡村さん」
「はい」
「今度の24日、一緒に、大阪まで冒険してみないか?」
と言った。
ただ、ヨシヒコは、振られるんじゃないかとも思った。
そもそも、郡村マオとヨシヒコは、殆ど、接点はないのが、職場の立ち位置だったから。
ただ、「冒険」なんて言葉を使って、良かったのか。
これって、ナンパなのか。
少し、悩んだ。
ああ、もう駄目なのかとも思った。
すると、「24日、大阪ですか?」と郡村マオは、楽しそうに言った。
「うん、そうだよ」
「言ってみたい」
と言った。
「じゃあさ、東海道新幹線で、24日、行くけど、指定席を予約しないといけないからさ」
と言って、話は、とんとん拍子に進んだ。
ヨシヒコは、まるで、映画『レインツリーの国』の向坂伸一とヒトミリカみたいだとも自分で思った。
そして
「永村さん」
「はい」
「私、大阪で行ってみたいところがあります」
と言った。
どこだろうか?
そして、少し、ヨシヒコは、急にワクワクしてきた。
そして、2024年12月24日。
街は、クリスマスの雰囲気で一杯だった。
東京駅八重洲口で待ち合わせをして、そこで、東海道新幹線のぞみ号新大阪行きに乗った。
一応、大阪行きで、行くところは、通天閣。大坂城。あべのハルカスなどを回ることにした。
朝10時に東京駅を出て、新幹線は、新横浜駅、静岡、名古屋駅、京都、新大阪を到着して、そこから、大阪メトロ御堂筋線で、本町駅まで向かい、さらに乗り換えて、森ノ宮駅まで向かった。この本町と森ノ宮を結ぶ電車は、2025年に大阪万博の会場をも結ぶ路線だ。イメージキャラクターのミャクミャクも貼っていた。
森ノ宮から大阪城公園を歩いた。時折、マラソンをしている人が、いた。そして、大阪城公園でお昼ご飯を食べて、そのまま、今度は、JR環状線で、天王寺駅まで行って、通天閣を観て、あべのハルカスで遊んだ。
大阪は、東京よりは、人口は少ないが、東京と同じように人が多いとヨシヒコは、思った。
そして、街中では、サンタクロースに扮した店員さんが、いたり、または、百貨店では、クリスマスのセールがあった。
まるで、映画の世界にいると思った、ヨシヒコは、と思った。
もう、これで、また、東京へ帰るのかと思った。
そして、郡村マオの地元は、どこなのかとも思った。
これで、今日は、一日だけの大阪のクリスマスも終わるのかとも思った。
もう、新幹線の時間だから、これから、また、電車で、新大阪まで行かないと、と思った。
天王寺動物園で、動物を観て、天王寺公園で、お茶を飲んで帰ろうとした。
その時だった。
公園で、年配の女性が
「マオちゃん」
「あ、お母さん」
え、と思った、ヨシヒコは、。
「こっちの人は?」
「私のお母さん」
「ええ」
と思った。
まるで、映画の世界を超えてしまった。いや、ただ、映画『レインツリーの国』では、ヒトミは、伸一の大阪の実家へ行っていたなとか思った。
「何や言うてくれたら、何か食事でも作ったのに」
「いや、ごめんな」
「こっちの人は、友達?」
「うん、会社の人」
と言って、ヨシヒコは、マオのお母さんに挨拶をした。すごいクリスマスと、ヨシヒコは、思った。
そして、2024年12月24日は、大阪から新幹線で、東京へ帰ったが、すごいサプライズのクリスマスプレゼントと思った。
年が明けて、2025年になってから、ヨシヒコは、郡村マオと付き合ったらしい。(完)
クリスマスの冒険 マイペース七瀬 @simichi0505
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