第1話
週5日働いている工場。
今日はその5日目が終わった。
土日は友人たちと遊ぶ約束をしている。
グループチャットの返事をして、タイムカードを入れた。
ー…ガチャッ
「佐伯さん」
「…鈴木さん…?」
鈴木匠。
顔は綺麗だけど怖いとパートの人たちがいつも言ってた。
特に何か言われたり、されたこともないけど、とにかく雰囲気が怖くて近寄りがたい。
同じ部屋にはいるけど、仕事内容が違うから一度も話したことはない。
そんな鈴木さんが無表情で私の前に立っている。…私、仕事で何か失敗しちゃった?
オロオロしている私の腹部に鈴木さんの拳が飛んできた。
「え…痛っ…なんで…?」
一瞬何があったか分からなかったけど、凄く凄く痛くて。私の足はよろけてしまった。
鈴木さんはやっぱり無表情で…。
「乗れ」
と車の助手席に私を押し込んだ。
車のハンドルを握った鈴木さんは何か思い出したような顔をしながら私の腹部をもう一回殴った。
「…やめて…痛ぃ」
ーー何で。
何でこんなことするの?
「騒がれると面倒だし、ジッとしてろよ」
怖くて、抵抗なんてできるはずもなく、職場はもうとっくに視界から消えた。
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