第2話久しぶりに会った幼馴染にVTuberであることがばれました

 私の名前は、白石沙也加。お父さんの仕事で9年間ぐらい北海道で暮らしていたけども、1月から東京のほうに引っ越すことになりました。あと、私は秘密にしていることがひとつあります。VTuberをやっています。しかし、私が転校した高校には、幼馴染がいてなぜか隣の席にされて、挨拶をしようと話しかけたら、VTuberをやっていることがばれていて、活動している時の名前も知られていました。否定はしました。でも、明らかに信じてくれている様子はなかったです。もし、あの五希とかいう馬鹿から私がVTuberであることがもれたとすれば、それこそ私は死ねます。なんなら、死にます。

 北海道から引っ越してみ、東京で心機一転、友達ができて、彼氏ができて、北海道にいた時とは違った高校生活を送れると思っていました。しかし、現実は違いました。久しぶりに会った幼馴染がVTuber活動を知っていました。御影八雲という私を知っていました。否、そんなことでくじける私ではない。スタートは失敗した。隣の席の奴に幼馴染風おさななじみかぜを吹かせてやったら自分にカウンターが返ってきた。まあ、でも、あいつのことなんか無視して高校生活を楽しんでやりますよ。

 ということで、部活に入ろうと思います。どんな部活に入ろうか、迷っている時に声をかけてくれた子がいました。姫宮凛ひめみやりんちゃんでございます。私がもともとこっちに住んでいる時からの親友で今回引っ越してきて同じ高校になりました。クラスは違ったけれども今も仲良しです。そんな、凛ちゃんに文芸部誘われたので、文芸部に入部しました。入部届けもすでにだして、部長の家中紬いえなかつむぎ先輩も凛ちゃん紹介してもらいました。

 そんなこんなで、やってきた部活の本格入部の日が今日というわけです。私は、はじめが一番大事だと思います。なので、元気よく挨拶。

「今日からよっろしっくお願いします」

はずむようなあいさつの後に目が合う。言葉にならない声が出る。言葉が出る。

「あっ」

「あっ」

相手も同じ言葉を返してくる。既視感のある顔、家中先輩でも凛ちゃんでもない顔。つまり、あいつだ。体験入部という形で文芸部を訪れた時には居なかったが、何故かいる。理解できない。

「あ、いらっしゃい沙也加ちゃん」

家中先輩がなんか言っている。とりあえず、席にでもついてくれと言われた放心状態のまま席に着く。しかも、座らされた席は五希の隣だ。発狂しそうだったが、声は出さずにおとなしくした。

「今日から本格入部する、白石沙也加ちゃんです。拍手。」

部長の声に絶望する私。隣もなんか絶望しているみたい。笑ってしまうわ。

文芸部の部員を紹介されるが一切頭に入ってこない。頭がPCみたいに処理落ちしている。再起動をかけるが、状況に追いつけない。お隣も今度は口がガタガタ・あばあばしている。

 あたりを見回して、あいつがいる理由が分かった。体験入部したときには、隠されていた数多のライトノベルが姿を現していた。このほかにも、この部活には、漫画などが持ち込まれている。つまり、この部活はオタクホイホイであったということだ。「といことで、今日からよろしく白石ちゃん」

気が付くと部長の話は終わっていた。

「あ、そうそう。部室にある本はそこに置かれている本以外は自由に読んでもらっても構わないから」

なぞの段ボールを指さされていわれたが、とりあえず、文芸部に入ったことだし、小説でも読んでみるかと気持ちになった。本棚から小説をとる。中身を広げると濃厚なボーイズラブが展開されていた。

「この本っていったい???」

話しかけた瞬間部長はやらかした~!!1という顔をしていた。そして、部長はあきらめたという顔をしてBLの英才教育を私に施してくれた。この部活はやばい部活だったという認識はどうやら間違っていないようだ。ということは、凛ちゃんも

「凛ちゃん、どんな本読んでるの?」と聞いたらご丁寧に全部黒塗りになるようなタイトルを読み上げてくれる。言葉の一つ一つがエッチすぎて純愛ものでは満足できなくなってNTRに手を出そうか考えかけているときの気持ちになった。カオスとカオスが重なって驚異的なミルフィーユができている。お隣のラノベの中ではよく負けヒロイン枠をとるキャラクター名を持つ人は相変わらず死んでいる。死者蘇生の言葉を私は五希の耳元で御影八雲の声で囁いてやった。

「べ、別にあんたのこと好きじゃないんだからね!勘違いしないでよね!!」

鼻から赤い血を出してあいつは散った。私もこの部活に入って気持ちが変化したのかもしれない。幼稚園のときの約束あいつは覚えているのかな?

 こうして、わたしの波乱すぎる、高校生活ははじまりましたとさ。

 あれ、こいつガチで目を覚まさないわ。死んだ?青白い顔をして殺人現場で刺された人のような状態をしている、五希を見て思った。これは、まじめに保健室に連れて行かなければまずいのではないか?とりあえず、部室にいる三人で五希おおよそ65㎏を保健室まで連れていくことになった。な、なんで、こいつこんなに重いのよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る